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LEXUS TEAM ZENT CERUMO スーパーGT第4戦SUGO 決勝レポート

2016年07月25日 18:11  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

ZENT CERUMO RC F
2016 AUTOBACS SUPER GT Report

SUGO GT 300km RACE

第4戦 スポーツランドSUGO

ZENT CERUMO RC F
#38 立川祐路/石浦宏明

◆7月24日(日) RACE
決勝結果 3位

<決勝>天候:曇り コース状況:ドライ

 7月23日(土)の公式練習での不調から3番手グリッド獲得までこぎつけ、さらなる上位進出を目指しLEXUS TEAM ZENT CERUMOは7月24日(日)の決勝日を迎えた。スポーツランドSUGOは予選日の夜から雨が降り出し、決勝日の早朝には上がったものの、ウエットパッチが残る状況。ただ、スリックタイヤでの走行は問題なさそうで、午前9時からのフリー走行で、スリックを履いてのロングランの確認を行うべくコースインした。

 ZENT CERUMO RC Fは石浦宏明がステアリングを握ったが、フリー走行開始直前に細かな雨粒が舞いはじめる。さらに、開始3分にNo.19 RC Fがコースアウトしたためすぐに赤旗提示。この赤旗はすぐに解除されたものの、その頃には雨の量が増えはじめ、石浦はたまらずピットへ。レインタイヤへの交換を強いられた。

 石浦は合計6周をこなすとピットに戻り、立川に交代。7周をこなした立川は、最終周に1分21秒922というタイムをマークし、このフリー走行は4番手で走行を終えた。ただ、スリックでのペース確認は結局30分間の走行では行うことができなかった。

 午前11時15分からのピットウォーク等、LEXUS TEAM ZENT CERUMOは決勝日のスケジュールをこなしながら午後2時のスタートのときを迎えたが、その間も雨は降ったり止んだり。ただ、午後0時50分からのスタート進行ではスリックでの走行が可能で、ここでクルマの確認を行い、レースに臨むこととなった。

 スタートドライバーを務めた石浦はオープニングラップを3番手で終えると、首位を走るNo.6 RC F、2番手のNo.17 NSX CONCEPT-GTを追撃にかかる。コース距離が短いSUGOだけに、早くも5周目にはGT300クラスのラップダウンが前方に出現するが、ここで首位争いが激化。6周目の1コーナーでNo.6 RC FとGT300車両が接触しスピンを喫したため、ZENT CERUMO RC Fはひとつポジションを上げ2番手に浮上する。

 一時No.17 NSX CONCEPT-GTとの間隔は2秒程度に広がったが、石浦はふたたびラップダウンをうまく活用しギャップを縮めると、13周目にはふたたびNo.17 NSX CONCEPT-GTのテールにピタリとつける。16周目の馬の背コーナーで石浦はNo.17 NSX CONCEPT-GTのインにつけると、軽く接触しながらも前に出ることに成功。ZENT CERUMO RC Fは待望の首位浮上を果たした。
 しかし、この頃石浦はタイヤがコンディションと合っておらず、グリップが低下していることを感じはじめる。20周目を迎える頃になると、後方からハイペースでオーバーテイクを展開するNo.39 RC F、No.19 RC Fが接近する。23周目にはNo.39 RC Fが1コーナーで石浦をかわすと、25周目にはハイポイントコーナーで石浦が接触されコースアウト。ZENT CERUMO RC Fはなんとかコースに戻ったが、No.19 RC Fの先行を許してしまった。

 ただ26周目、最終コーナー立ち上がりでGT300車両がクラッシュしたため、セーフティカーが導入される。これで先行するNo.39 RC F、No.19 RC Fとのギャップは広がらなくなったが、タイヤ選択をどうするか、後半に向けどんな戦略を立てるのか、セーフティカー先導中も石浦は村田卓児エンジニアにタイヤの状態を逐一伝達し、村田エンジニアは作戦を練った。

 最終的に行き着いた結論は、セーフティカーでコースがクリアになったため、その間は石浦のスティントを引っ張り、その後少々早めとなる35周終了時でのピット作業を行うという作戦だ。空いているクリアなコースで走るメリットを活かしたZENT CERUMO RC Fは、ピット作業をキッチリと行い、交代した立川をコースへ送り出した。

 この作戦が功を奏し、ZENT CERUMO RC FはNo.19 RC Fに先行する。しかし、前にはNo.39 RC F、さらに首位にはタイヤ無交換作戦を敢行したNo.24 GT-Rがつけていた。立川は石浦が履いていたものよりもワンランクハードな、ささくれが出ないタイヤを装着し安定したペースを保っていたが、後方からは勢いのあるNo.19 RC F、さらに6周目にスピンしていたNo.6 RC Fが接近。三つ巴のバトルとなっていった。

 しかしレース終盤、スポーツランドSUGOには陽が注ぎ始める。気温が上がり、ZENT CERUMO RC Fが装着しているタイヤに適した温度になってくると、立川は水を得た魚のように本領を発揮する。70周目にはNo.24 GT-Rを抜きあぐねていたNo.39 RC Fに接近すると、72周目には首位争いが5台のバトルに変化。タイヤ無交換作戦のNo.24 GT-Rを先頭としたバトルに、スポーツランドSUGOは大いに盛り上がりをみせた。

 そのなかで立川は、さすがのテクニックを駆使し76周目の1コーナーでNo.39 RC Fをアウトから豪快にオーバーテイク! No.24 GT-Rのタイヤは消耗しており、立川には勢いがある。トップ浮上を完全に射程圏内に収めていた。

 しかし同じ周、最終コーナーでGT300クラスの車両が激しくクラッシュしてしまう。この救助作業のため、レースはまさかの赤旗中断となってしまった。残り5周の超スプリントレースで再開となるのか、それとも……!? 一度コクピットから降りた立川は決断を待ったが、下されたのはそのままレース終了というアナウンス。さらに、赤旗終了時はその2周前の順位となるため、ZENT CERUMO RC Fはトップ浮上を目前としながらも、3位でレースを終えることとなった。

 ZENT CERUMO RC Fにとっては、悔しくも嬉しい今シーズン初表彰台。夏の三連戦の緒戦でしっかりとポイントを積み上げ、次戦ホームコースである富士スピードウェイで悲願の今季初勝利を目指すこととなった。

ドライバー/立川祐路
「いまの気持ちとしては、正直残念なところがあります。勝てるチャンスがあるレースでしたし、自分の手ごたえとしても『いける』という気持ちがあった。あのままレースを続けたかったですけど、安全に関わることなので仕方がないですね。ただ、今週末は予選日から順位こそ前の方でしたが、厳しい戦いが続いていたなかで、最後には優勝を狙える位置にいくことができたのは良かったと思います」

ドライバー/石浦宏明
「序盤履いていたタイヤを気温の関係できちんと機能させることができず、先頭に立つことはできたものの、うしろから元気なタイヤのクルマが迫ってくる厳しい状況なのは分かっていました。その情報をとにかくチームに伝え、なるべく自分たちのロスが少なくなるようにとどめ、後半の立川選手に繋げるようにずっとやり取りをしていました。最終的に僕のスティントでは自分のできる限りをやることができましたし、その後の立川選手の素晴らしい追い上げがあって、勝てる可能性が高いレースをすることができたと思います。最終的に3位になったのは悔しいですが、土曜日からチーム全員で全力を尽くした結果の3位ですからね。夏の三連戦で表彰台を得ることができたのは良かったと思います。この三連戦のなかで1勝を挙げたいですね」

高木虎之介監督
「スタートは3番手でしたが、序盤の石浦選手のときのタイヤはかなり苦しかったですね。その後、立川選手のスティントではタイヤの種類を変えざるをえず、ハードめのタイヤをぶっつけ本番で投入しました。後半スティントも序盤立川選手が苦しかったですが、なんとかしのぎ切って、気温が上がってからは素晴らしいレースを展開してくれたと思います。最後、2番手に上がったときには『これはいけるな』とは思いましたが、残念ですがこれもレース。立川選手も石浦選手もがんばってくれたと思います。表彰台には乗ることができたので良かったです」