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日本の「社畜文化」は何とかならないのか――約6割の人が有休取得に「ためらい」感じると回答

2016年07月25日 17:01  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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有給休暇は働く人の権利だ。6か月以上継続勤務し、勤務すべき日数の8割以上出勤すれば、正社員だけでなくパートでも10日間の有休が与えられることが労働基準法で定められている。しかし、日本人の有休取得率は47.6%(2015年 厚生労働省調べ)と依然として低いのが現状だ。

背景には、有休取得に対するためらいの気持ちがあるようだ。第一生命経済研究所の調査によれば、会社員の約6割が有休取得に対してためらいを感じているという。

「先輩が働いていると休めない」周りの目を気にして有休に消極的

調査は「子育て世代の年次有給休暇の取得意識」というもので、2015年11月に全国の20~59歳の男女1400人に対して実施。

「有給休暇を取得することへの『ためらい』意識」では、男性の57.3%、女性の63.2%、全体の61.2%が有給休暇を取得することにためらいを感じていると回答。約6割の会社員が有休取得にためらいを感じている。

「有休休暇を取得することにためらいを感じる理由」の1位が「休むと職場の他の人に迷惑がかかるから(54.2%)」。2位が「休むと後で忙しくなるから(30.8%)」。3位が「職場の周囲の人の目が気になるから(30.2%)」となっており、周囲の目を気にすることが有給取得に消極的にさせる現状が浮き彫りとなっている。

NHKはこの調査を「有給休暇の取得 約6割がためらい感じる」という見出しで報道。街の人の

「自分が休んだからどうなるかなあ ためらいながら取っている」
「先輩が働いていると、自分が取っていいのかなと感じる」

という声を紹介していた。

一方、有休取得にためらいを感じない人に理由を聞くと、1位が「自分のペースで仕事を進めることができるから(43.7%)」、2位が「職場の他の人と仕事の調整・分担ができているから(41.8%)」、3位が「自分が休んでも他の人の仕事に影響が生じないから(33.2%)」だった。

調査を行った第一生命経済研究所の的場康子上席主任研究員は「心おきなく休暇をとるためには仕事を複数で分担するなど、誰が休んでも仕事がまわるよう職場環境を整えることが必要だ」と分析している。

「飼い慣らされる日本人だな」「まず上司がいやみな事を言うしね」

このNHKの記事に対し、ツイッターでも嘆きの書き込みが見られる。

「本来ためらわなくていいもののはずなのに……!!」
「飼い慣らされる日本人だな」「まず上司がいやみな事を言うしね」
「有休取りやすくするには、上司の意識変えないと。制度だけじゃダメよ」

また、25日付の東京新聞では「夏休み何日取れる? 進まない有休消化 バカンス遠い日本」という記事を掲載。日本の有休取得率が上がらない理由について、弁護士が

「日本では職場に迷惑をかけてはならないという意識がなお強い。企業に対して働く側の立場が弱いという現実もある」

とコメントしていた。欧米では、労働組合が企業とバカンスの日数について交渉するのだという。

ツイッターでは「日本の社畜文化……」という投稿があったが、労働者の正当な権利である有給休暇を会社の顔色を見て取得するという文化は問題だろう。雇用者と労働者は対等な立場にあるはずである。有給休暇という権利は「使っていいもの」という意識を強く持ち、休むときは休むに徹することで、人生にメリハリを持ちたいものである。

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