予選で圧倒的なスピードでポールポジションを獲得し、一躍、今回のスーパーGT第4戦SUGO、GT500の優勝候補に挙がったWAKO'S 4CR RC F。しかし、レーススタートから6周目に周回遅れのGT300マシンと1コーナーで接触し、13番手まで落ち、優勝を逃してしまった。今回のレースに大きな期待をかけていた脇阪寿一監督に聞いた。
レーシングアクシデントと判定された6周目での接触。トップから13番手まで脱落したが、WAKO'Sは巻き返し、周囲のアクシデントや接触による脱落もあって4位でレースを終えた。あまりに展開が激しく、内容の濃い決勝に、寿一監督もまずは感嘆の声を挙げた。
「スーパーGTって、面白いね(笑)。やっばいね(笑)。レース序盤にあんな接触があった(6周目の1コーナーの進入でGT300と接触してスピン)のに、最後に数珠つなぎでトップ争いができたのは大きな収穫。ひとつミスがあってからも、そこからもう一回盛り返せたことが、僕には大きかった」
それでも常勝チームを目指すチームルマンと寿一監督の目標は高く、そのためのドライバー、チームへの要求も高い。
「ピットストップでもちょっとミスがあって、それがなかったら3位になった38号車(ZENT CERUMO RC F)の前でコースに戻れていたと思うので、そうなればレースの展開も違っていた」
「僕が目指しているチーム、ドライバーというのは、ミスをしたり、接触やアクシデントでGT300が100パーセント悪かったとしても、そのアクシデントを避けて、最後のチェッカーまでクルマをもっていけるドライバーであり、チーム。それこそ、ドライバーには立川(祐路)みたいになってくれることを(大嶋)和也にもアンドレア(カルダレッリ)にも求めているし、彼らはそのレベル、そしてそのレベル以上に行けると思っているから、あのトップ走行中の接触は、アンドレアにはなんとかしてほしかった」
ふたりの若手ドライバーへの期待が大きく、昨年までのGT500を熟知しているだけに、ドライバー視点の気持ちが分かりやすい寿一監督。優勝のチャンスを逃してしまった反省点も具体的だ。
「トップを走行していて、後ろからプッシュされている状況は厳しかったと思うけど、今のスーパーGTは天候の変化やタイヤの状況で、ひとつのスティントで3回くらい、ポテンシャルが変わるよね。前のクルマと離れたり、くっついたり、いろいろある中で最後までコースに居続けるということが、どれだけ大切なことか」
「アンドレは昨日の予選では最高の仕事をしてくれたし、ドライバーとしてクルマのフィードバックや人間性にはまったく問題はないけど、今回のGT300との接触は経験不足。そこは反省して次に活かしてほしいなと思います」
もし最後、赤旗終了とならずに残り5周続いていたら、どうだったか。
「最後の5周、もしかしたら立川がトップに絡んで、ウチにももっとチャンスがあったかもしれない。見たかったけど、一回クルマを止めたらエンジンとかブレーキのオーバーヒートがあって二次災害が起きる可能性もあるし、それらを考慮してのGTAの判断だと思います。それにしても、本当に面白いレースだったね」
名門復活を目ざすチームルマンと寿一監督が今回の経験をどう活かすか。次の戦いが重要になる。