2016年F1第11戦ハンガリーGPで優勝を果たしたメルセデスのルイス・ハミルトンは、予選でのニコ・ロズベルグの走りにペナルティが与えられなかったことで、下位カテゴリーで戦うドライバーの黄旗区間での走りに悪い影響を与えかねないと語った。
ロズベルグは、Q3でフェルナンド・アロンソがスピンを喫したあと、ダブルイエローが提示された区間で一時減速するも、そのまま最後まで走りきりポールポジションを獲得した。一方のハミルトンは、減速してアタックを断念。ポールポジション獲得の機会を逃した。
ハミルトンはレース後、ロズベルグに罰則が与えられなかったことに関して、まだ懸念を感じていると口にした。
「もしダブルイエローが提示されたら、マシンを減速させる準備をしなければいけないんだ」とハミルトン。
「ニコは僕が前の周に記録したスピードと同等の速さでコーナーに差しかかっていたんだ。実際、彼はペナルティを受けなかったから、これから僕たちは気をつけなければならなくなった。なぜなら下位カテゴリーを含めたすべてのドライバーたちは、ダブルイエロー区間では、わずかな減速だけで十分だという認識を持ったからね。非常に危険なことだと思う」
「これまではシングルイエローでコンマ2秒、ダブルイエローだとコンマ5秒失われることになっていたけど、次のレースからは、ポールポジションをかけて争う際、ダブルイエローが出た場合わずか0.1秒のロスだけでいいことになる」
一方当事者のロズベルグは、黄旗での安全基準について十分に理解していると主張する。
「ダブルイエロー区間で減速しなければいけないのは知っている。僕は20km/h減速してコーナーに入った。F1マシンで20km/hというのは大きな違いだよ。すべては安全だった」
「ブレーキングポイントの30m手前でリフトさせて、エイペックスに到達するまで20km/h落とした。そして、よりタイトなラインを選んでからまたアクセルを踏んだんだ。(減速は)明らかだったし、スチュワードは僕にペナルティを与えなかった」
路面状況が良くなっていくというコンディションだったため、1周前のタイムを上回る可能性は高かった。
「すべてのアタックでタイムを上げるつもりだった。路面状況は完全なドライコンディションではなかったからね」
レッドブルのダニエル・リカルドは、これはドライバーたちにとって長い間きちんと議論しておきたかった問題だという。
「シングルイエローでは、ドライバーは実際に減速していない場合でもスチュワードには減速したと見せている。ただしダブルイエローは、もっと重要な意味を持つからね。シングルイエローとは大きな違いがあるから注意しなくてはいけないんだ」
予選後ロズベルグにペナルティが出ることはなく、決勝ではポールポジションから2位に終わったあとでも、この問題に対する議論は続いている。