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EXILE THE SECOND、国境越えたダンス・ミュージックを「翻訳」? 新シングルの本質に迫る

2016年07月24日 18:01  リアルサウンド

リアルサウンド

EXILE THE SECOND『YEAH!! YEAH!! YEAH!!』

【参考:2016年7月11日~2016年7月17日のCDシングル週間ランキング(2016年7月25日付・ORICON STYLE)】(http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/2016-07-25/)


 2016年7月25日付の週間CDシングルランキングを1位から10位まで聴いた中で、特に耳に残ったのは2位のEXILE THE SECONDの「YEAH!! YEAH!! YEAH!!」でした。このチャート連載では以前にもEXILE ATSUSHI + AIの「No more」を取り上げるなど(参考:EXILE ATSUSHI+AIがメインストリームで体現する、ブラックミュージック直系の歌唱力)、EXILEファミリーのサウンド・プロダクションやボーカルのレベルの高さに注目してきましたが、EXILE THE SECONDの「YEAH!! YEAH!! YEAH!!」もまさにそうした楽曲のひとつです。


 2012年に結成、デビューしたEXILE THE SECONDの3年ぶりのシングルが『YEAH!! YEAH!! YEAH!!』。EXILE THE SECONDは、EXILEの橘ケンチ、黒木啓司、EXILE TETSUYA、EXILE NESMITH、EXILE SHOKICHIから構成されている5人組です。『YEAH!! YEAH!! YEAH!!』を皮切りにして、三部作がリリースされることもアナウンスされています。


 「YEAH!! YEAH!! YEAH!!」は強烈な昂揚感をもたらす楽曲。ジャケットを見るとR&B路線のようですが、トラックにはEDMにおけるドロップのようなパートもあり、カリブっぽいパーカッションも鳴るなど、非常に凝ったサウンドです。そして、EXILE THE SECONDのボーカルの男っぽさを引き出すサウンドであることも見逃せません。


 作家陣のクレジットを見ればそれも納得で、作曲はErik LidbomとCommand Freaks。Erik Lidbomは、EXILE関連はもちろんのこと、嵐などのジャニーズ関連でもおなじみのスウェーデンのソングライター、プロデューサーです。スウェーデンの出版社・Hitfire Productionを主宰し、日本のSoundgraphicsの契約作家でもあるErik Lidbomは、関わった楽曲が日本で多数ヒットしています。J-POPにおける海外作家の起用については、「KAT-TUN現体制は、ヴォーカルグループとして魅力的だーー新作収録曲を徹底分析」(http://realsound.jp/2016/02/post-6429.html)でも言及しましたが、そうした近年のJ-POPのメインストリームにおける作家システムが生み出した隠れたスターのひとりがErik Lidbomです。


 もう一組の作曲家であり、編曲も担当しているCommand Freaksは、KAT-TUNなどへの楽曲提供でも知られる作家で、韓国の出版社・Iconic Soundsに所属しています。Facebookでは、Command FreaksのSung Chan Annが、EXILE THE SECONDの『YEAH!! YEAH!! YEAH!!』のCDの写真とともに「I'm so happy~!!!! 」と投稿していました。海外作家が日本でのリリースやヒットをFacebookで喜ぶ光景は、前述の記事でも書いた通り、KAT-TUNの「TRAGEDY」のリリース時にも見られた光景です。


 そして、実はカップリングの「Going Crazy」には、「YEAH!! YEAH!! YEAH!!」よりも衝撃を受けました。アメリカの作家であるRicky Shockbitらが作曲した「Going Crazy」は、ベース・ミュージックのようなワイルドなサウンドです。こうしたダンス・ミュージックまでJ-POPのメインストリームに送り込むEXILE THE SECONDの姿勢には驚きました。


 しかし、冷静に考えてみれば、洋楽を日本人向けに「翻訳」するという行為は、かつて歌謡曲が連綿と行ってきた行為でもあります。日本、スウェーデン、韓国、アメリカの人々が関わったダンス・ミュージックでありながら、それでも正しく「歌謡曲的」である点が、EXILE THE SECONDの『YEAH!! YEAH!! YEAH!!』というシングルの本質だとも感じました。(宗像明将)