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【Interview】電子時代に強い未来のマンガ家とは?京都精華大のデジタル漫画専門コースに直撃

2016年07月24日 11:31  Techable

Techable

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2017年、京都精華大学にデジタル漫画に特化したコースが「新世代マンガコース」が新設される。紙の本によって収益を得るビジネスモデルが大きな変革期を迎えている今、新しいスタイルで発信できる作家を養成することを目的にしたコースだという。

今回は、教員の一人である、漫画家の田中圭一氏にお話を伺った。
・これからの漫画家に必要とされるセルフプロデュース力
Q1:新たに新設される「新世代マンガコース」はどのようなコースでしょうか?
また、既存のマンガコースとはどのような差別化を図っていらっしゃいますか?
来る2020年代は、マンガの作り方、読まれ方、マネタイズ、デビューする方法などマンガを取り巻くすべての環境の大きな転換期だと思います。電車に乗って周囲を見回してみると、紙の本を読んでいる人がほとんどいないことに気がつくでしょう。そんな時代にあって、マンガ教育はあらゆる面で時代の変化に即応していくべきだと感じでいます。新世代マンガコースは、そういった時代に合わせたマンガの作り方、デビューの方法を総合的に教えていくコースです。なかでも重要視しているスキルは「セルフプロデュースできる力」です。SNSなどのウェブツールは、マンガ家個人によるマーケットリサーチを可能にしていますし、近い将来マンガ家が読者に直接データを販売することが普通になるかもしれません。そんな時代のマンガ家に望まれるスキルは、ハイレベルなクリエイターであることは当然として、自身がプランナーでありマーケッターでありセールスプロモーターであることです。作品のみならず作家自身をどうアピールして広大なネット世界で作家と作品を目立たせていけるか、人気を取っていけるか、マネタイズしいけるかを教えるコースになります。
Q2:どんな人材を育成されていきたいと考えていらっしゃいますか?また、どのようなことをしたい(どのようなことに興味がある)生徒が向いているコースでしょうか?
前述したとおり、読者ニーズを察知して作品を企画し、それをヒット作に持って行けるプロデューサーを兼ねたクリエイターになります。新世代マンガコースに求める学生像は、エンターティナーとしての資質をもった人に尽きると思います。多くの読者を楽しませたいという気持ちが強く、活動範囲はマンガ制作だけにとらわれず、漫画関連のイベントプロデュースまでも視野に入れて企画を立て実行できる人材に育てようと考えています。
Q3:どのようなカリキュラムが用意されていますか?
1年次では従来のマンガフォーマットに則った読み応えのあるマンガを作るスキルを基礎から学びます。同時にSNSやウェブに特化したマンガの表現や演出についても学びます。2年次以降は、創作した作品について、ネットを使ってより多くの人に読んでもらうノウハウ、読者の反応を受けて作品をより多くの人に好かれるように変えて行くノウハウ、マネタイズの方法や他メディアへの展開方法なども学びます。4年次ではマンガに関わるイベント企画とプロデュースについて、インターンシップを通じてマンガという枠にとらわれない総合的なエンターテインメントの重要性を学びます。
・ネットの普及によって漫画家の活動の場は世界へ
Q4:海外から漫画を学びにくる学生も多いかと思います。そういった学生に心がけて教えていることはありますか?
今は、ネットを通じて国や地域に関係なく世界中にマンガを発信していくことが可能です。それは即ち、海外で暮らしながら日本という巨大なマンガマーケットで成功を収めることが可能だということです。新世代マンガコースで学べるノウハウは、それをより高い精度で実現できるものになります。高い志と夢を抱えて新世代マンガコースの門を叩いて欲しいです。
Q5:在学中に学校や生徒と共同で行うプロジェクトやイベントなど、計画されていることがございましたら教えてください。
前述しましたように、4年次ではインターンシップでマンガに関わるイベントを企画して実施するという体験を積んでもらいます。また、現在SNSマンガサイトとネットに特化した共同カリキュラムを準備中です。
「新世代マンガコース」では、漫画家ではなく幅広いジャンルで活躍できる人材の育成も目的の一つとしている。将来、このコースからどんな逸材が輩出されるのか、期待が高まる。

京都精華大学「新世代マンガコース」