ハンガリーGP開幕前日の木曜、ハンガロリンクのコースをフィジオとランニングするニコ・ロズベルグの姿があった。ドイツ人フィジオのダニエル・シュレッサーによれば「トレーニングが目的というより、路面や縁石をチェックするのが目的」だという。今年ハンガロリンクは路面を全面再舗装していたからだ。
同じ日に行われた記者会見で、再舗装されたことを尋ねられたハミルトンは「えっ、そうなの? これまでの路面でも全然問題なかったのに……」と、改修されたことを残念がっていた。
ハンガリーの地元メディアによると、今回の改修は3年前に決定していたことだという。
「3年前ここでDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)のテストが行われたんだけど、そのとき路面の一部が剥がれて、テストが中止になった。全面再舗装にはお金がかかるから、とりあえず部分的な補修にとどめて、今年やっと全面再舗装に至った」
昨年までハンガロリンクの路面は、バンピーだっただけでなく、ところどころヒビ割れており、路面状態はシーズンで一、二を争うほど悪かった。1986年の初開催以来、部分的な補修は行われてきたものの、全面的な路面の再舗装が行われたことがなく、今回が31年目にして初めてのことだった。そのためバンピーで滑りやすかったハンガロリンクは、突然スムーズでハイグリップなコースに変貌し、初日はドライバーたちを悩ませた。
初日のフリー走行で常にグリップ不足を嘆いていたバトンも、路面のグリップが高くなったこと自体は歓迎しつつも、とまどいを見せていた。
「グリップは高くなった反面、限界を超えると突然グリップがなくなる。その境界線がわかりづらくて、すごく変な感じだ」
今回ハンガロリンクは路面を再舗装しただけでなく、縁石も全面改修した。その新しい縁石に乗って、フリー走行2回目にスピンを喫したのがハミルトンだった。ハミルトンはクラッシュの原因は新しい路面ではなく、縁石に乗ったことだと言っていたが、同時に新しい路面について依然として不満を漏らしている。
「僕はバンピーなハンガロリンクが好きだった。もちろん運転は簡単じゃない。だからこそチャレンジしがいがあった。その楽しみがなくなったことは寂しいね」
好むと好まざるとに関わらず、ハンガロリンクは生まれ変わった。日曜には新しい舞台でレースが展開される。