ハンガリーGPの金曜会見は、チーム代表からエンジニアやパワーユニットメーカー代表まで、よく言えばバラエティに富んでいますが、少々まとまりのないメンツに記者たちも、どんな質問が適切なのかと迷いが見える展開となりました。
もちろん最も注目を集めたのは前列中央に座ったザウバーのモニシャ・カルテンボーン代表ですが、発表されたばかりのチーム買収については詳細を語ることができず、通りいっぺんの内容にしかならないのは目に見えていたので、記者たちも早々に退散。
そして、7月は5週間で4戦、カナダGPから数えれば8週間で6戦というハードスケジュールの真っただなかに「こんなスケジュールは分別あるものだろうか?」という質問が各チーム関係者へ投げかけられます。
ハースのギュンター・シュタイナー代表は「うちは新規参戦当初から、ずっとバタバタで駆け抜けてきたから、別に変わらない。6週間に6戦やっていたら、あっという間に歳をとるだろうけど、それよりはマシだよ」と、どうせチームの忙しさは変わらないと余裕の構え。トロロッソのテクニカルディレクター(TD)であるジェームス・キーは「年間21戦もあるんだから、とりわけシーズン中盤に密集するのは当たり前のこと」とクールな回答。
一方でウイリアムズのTDであるパット・シモンズは年間16戦時代も知っているベテランとあって「2008年あたりに計算したとき、チームにとって限界は年間20戦だった。その限界を超えている。私は40年もレースをしてきたが、F1を愛してやまないスタッフたちが『もうレースに行きたくない』なんて言うのは初めて聞いたよ」としみじみ語り、遠巻きに現在のカレンダーを批判しました。フェラーリのジョック・クリアも「パットに賛成。これじゃ、みんな十分に寝ることもできず、家族と過ごす時間もない。ものすごく疲れている」と賛同します。
そんな過密スケジュールの間も、サーキットには巨大なモーターホームやエンジニアオフィスが建造されていて、その設営や移設にも膨大な労力がかかっているわけです。それを指摘する声に、ハースのシュタイナーは「うちはトラック9台しか使ってないし、効率的にやっている」。フェラーリのクリアは「我々は可能な限りクルマを速く走らせるだけでなく、ショーをやっている。ファンやメディアや我々自身が望むのが、こういうF1の姿であり、これこそがF1だということだ」と回答。ただし、こんな補足が。
「最初に私がチームに来て、ふと思って尋ねたことのひとつがそれだった。そうしたら輸送物資のほとんどは、あなたたちジャーナリストに食事を提供するためのものだって言われたよ!」
なるほど……そう言われちゃったら、フェラーリのモーターホームでお世話になっている我々は文句を言えませんね(笑)。