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SGT:SUGO戦のキーワードは“GT-R包囲網”&“富士不運組”、そして“JAF-GT勢”

2016年07月22日 20:51  AUTOSPORT web

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スーパーGT第4戦SUGOで優勝候補の最右翼に挙げられるカルソニック。前回富士の不運を払拭させられるか。
第3戦オートポリス戦のキャンセルによって、2カ月ぶりの開催となったスーパーGT第4戦SUGO。久しぶりのスーパーGTの戦い、GT500クラスは今シーズン猛威を振るっているGT-Rを外して考えることはできなさそうだ。GT-Rはこれまでの2戦でMOTUL AUTECH GT-Rが2連勝という驚異の強さを発揮し、さらには前回の富士でも優勝を争ったのが同じGT-Rのカルソニック IMPUL GT-Rとニッサン同士の戦いになり、今季のGT-Rはリザルト以上の強さを見せているのだ。

 今週末のSUGOでも、そのGT-R勢が本命になりそうだ。第2戦富士のレース残り3周、トップ走行中に100Rで左リヤタイヤがバーストし、まさかのリタイアに終わったカルソニック、そして同じく富士で不運に遭ったS Road CRAFTSPORTS GT-R(セーフティカー中のピットインでペナルティ)の2台が今回のSUGOでの優勝有力候補になる。

 Sロードの本山哲はこの難関のSUGOを得意としており、Sロードが装着するミシュランタイヤも気温が暑くなればなるほど強さを発揮する。本山のチームメイトは今、もっとも勢いのある旬なドライバー、千代勝正。このSUGOでGT500初優勝を狙いたいところだ。

 同じく優勝候補のカルソニックのJ-P.デ・オリベイラは1週前のスーパーフォーミュラで優勝を飾っており、勢い十分。「やっぱりいい気分だよね。チームの雰囲気も良くなっているし、このSUGOにも事前テストでいい感触が残っているから期待しているよ」と、オリベイラは搬入日にリラックスした表情で話していた。前回の富士でバーストしたタイヤの対策として、今回は別の構造のタイヤを投入しているとのことで、富士のような結果は続かないはず。SUGOではMOTULではなく、Sロードを相手にして、GT-R同士の優勝争いが繰り広げられる展開になるかもしれない。

 そんな"GT-R包囲網"のような状況になっているGT500だが、オリベイラに他車種でのライバルを聞くと、「テストでも好調だった38号車(ZENT CERUMO RC F)だね」と、同じく第2戦でセーフティカーを挟んでのガス欠という不運に見舞われたライバルの名を挙げた。
■ガス欠の不運からZENTは必勝態勢でSUGOに臨む。GT300は……

 そのZENTは、高木虎之助監督が「明日の練習走行で走ってみてからだね。そこで持ち込みのセットアップがよかったら、ある程度は行けると思う」と話すように、天候とタイヤとクルマのセットアップがポイントになる。搬入日の金曜のSUGOが日差しが強く、初夏の雰囲気十分だったが、土曜からは曇り空で気温は下がる見通し。レース観戦には暑すぎず適度な気候になりそうだが、チーム&ドライバー側としては低い気温に、どこまで持ち込みのタイヤ、セットアップが適しているのか、実際に走らないとわらない部分が多い。

「今回のSUGOは非常に大事なレース」と石浦宏明が語るように、ZENTは必勝態勢でSUGOに臨む。いずれにしても、RC F陣営としては予選が勝負どころになりそうだ。GT-Rとは、予選一発のタイムでは決勝のレースペースほど差は大きくはない。なんとかGT-R陣営の前のグリッドを奪えれば、コース幅の狭いSUGOで優位にレースを進めることができる。

 昨年のSUGO戦で見事な勝利を飾ったRAYBRIG NSX CONCEPT-GT。今回についてはホンダファンには若干、気の毒ではあるが、NSXに昨年のような勢いが見られない。事前のSUGOテストではRAYBRIGがトップで終えたセッションもあったが、これまでの2戦のレースを見る限り、相対的なパフォーマンス関係で考えると、ライバル2車との差は大きい。今年、ハイブリッドを下ろしてからのセットアップの詰めなどがまだまだのようだが、なんとかミッドシップに適した中高速コーナーが多いこのSUGOで、今後に向けてのよいきっかけを作りたい。
 
 GT300は事前の情報からも予想からも、圧倒的にJAF-GT勢が強そう。その中でも大本命に挙げられるのが25号車のVivaC 86 MC。チームのエースでありエンジニアでもある土屋武士も「これまでのテストでいくつか改良を加えて、クルマはこれまでで一番いい状態に仕上がった。レーシングカーとしても、僕がこれまで乗ってきたクルマの中でも最高の状態。ただ、今回はほかのJAF勢も速いので、勝には運も必要だと思う」と今週末の手応えと展望を語った。

25号車のVivaCのほか、31号車TOYOTA PRIUS apr GT、61号車のSUBARU BRZ R&D SPORT、UPGARAGE BANDOH 86がJAF勢の優勝候補。GT3勢ではこのSUGOと相性のよいアウディR8がJAF勢に一矢報えるか。アウディ陣の中でも、Hitotsuyama Audi R8 LMSが有力候補の一台になりそうだ。