既報のとおり、FIAはF1ハンガリーGPから「トラックリミット」を厳しく取り締まるため、新たな試みを導入する。トラックリミットとはコース内を走らなければならないという基本的なルールで、コースとは両脇の白線までを意味する。縁石から外側の部分も舗装されているが、それは安全上の措置であって、その部分を走行してアドバンテージを得ることは許されていない。
前戦イギリスGPの予選ではコース外にはみ出して自己ベストタイムを記録したマシンが複数台いた。FIAはハンガリーGPに向けて事態を改善するため、ハンガロリンクのコース外側にセンサーを埋めこみ、コース外を走行したマシンを自動的に検出するシステムを導入する。
これまではレースコントロールセンターのモニターによって監視していたため、イギリスGPの予選では判定までに時間を要して、盛り上がりに水を差す結果となっていた。
ハンガロリンクではターン4とターン11が高速コーナーで、外側に広いランオフエリアがあり、コースをはみ出しやすい。低速コーナーであれば縁石を高くすることで抑止力となるが、高速コーナーの場合は高い縁石が危険物になりかねず、縁石を高くできない。そこでFIAは、ターン4とターン11の白線の外側1.6mの部分にセンサーを埋設して、コースをはみ出したマシンを検知するシステムを構築した。「1.6m」に定めた理由は、F1マシンの幅が1.8mなので、片側2輪がセンサーを超えた場合は反対側の2輪もコースを出ていることになり、4輪すべてがコースから外れていることを意味するからだ。規定では、片側2輪がはみ出すだけではペナルティとはならない。
7月21日、木曜日の午後に行われたセーフティカーとメディカルカーを使用したコースチェックでは、2台がターン4とターン11で4輪ともコース外へはみ出し、システムが正しく作動するかを確認していた(写真は、いずれもモニター画面を撮影)。
この変更に対してドライバーからは反発の声もあがっているが、ルイス・ハミルトンは監視システムを支持している。
「コースをはみ出してはいけないことは、シルバーストンのドライバーズミーティングでも話していたことなので、今回の措置は当然だ」
ハンガリーGPで問題が起きなければ、同様のシステムが他のサーキットでも採用される可能性がある。今週末システムが、どのように機能するか注目したい。