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剛力彩芽、好感度アップで夜の“おかず”になるか? 料理ドラマ『グ・ラ・メ!』への期待

2016年07月22日 09:01  リアルサウンド

リアルサウンド

『グ・ラ・メ!~総理の料理番~』

 剛力彩芽が主演を務めるドラマ『グ・ラ・メ!~総理の料理番~』(テレビ朝日系)が、今夜11時15分より放送される。放送開始に向けてネットでは剛力のインタビュー記事が複数掲載され、「うざいくらいポジティブ」や「いまだに父親の膝の上に座ります」といった微笑ましい発言に、好感を寄せる声が少なくない。(参考:剛力彩芽 「うざいくらいポジティブ」 ルーツは母親の“教え”)


参考:二階堂ふみのラブシーンはなぜ心を揺さぶるのか  10代で脱いだ大物女優の系譜から考察


 剛力はどちらかというと、ネットでの風当たりが強い女優ではあったが、昨今はむしろイメージが向上している印象を受ける。剛力の露出が激増した2011年頃は、なにかのきっかけで“売れた”というより、周囲の大人たちの“売り出したい”というイメージの方が先行していたことが、ネットを中心に批判された主な要因だろう。たしかに、明確な実績があったわけではないにもかかわらず、急激に数多くのテレビ番組やCMに起用され始めた感はある。とくに当時はTwitterのユーザーが爆発的に増えていた時期で、ネットで発言することがより身近になっていったタイミングだ。多くの人が言及しやすいネタとして、剛力に対するネガティブなコメントをアップしていたのは、ある程度は仕方のないことだったのかもしれない。


 しかしながら、ネットでの反響が剛力の存在感を高めていった面もある。デビューシングル『友達より大事な人』(2013年)は、独特な世界観のMVで披露された“プロペラダンス”を、AKB48の峯岸みなみが冗談めかしてバラエティ番組でモノマネしたことで人気に火がつき、YouTubeにアップされたMVは再生回数2000万回(現時点)を超える大ヒットとなった。最初は興味本位で動画を観たものの、何度も耳にするうちにクセになり、気づけばイントロを聞いただけでテンションが上がるようになってしまった人も少なくないだろう。剛力は峯岸がモノマネをした当初より、怒るどころか笑顔で感謝を伝えていて、その対応も見ていて気持ちの良いものだった。


 続くシングル『あなたの100の嫌いなところ』や『くやしいけど大事な人』(ともに2014年)では、タイトルやアートワーク含め、さらに“ネタ感”を強めた作風で話題を呼んだ。満を持してリリースされた1stアルバム『剛力彩芽』(2015年)では、初回生産限定盤Bのジャケットを『キン肉マン』の作者として知られるゆでたまご氏の書き下ろしイラストに。同作に登場する怪獣「ゴーリキ」をモチーフとした筋骨隆々のビジュアルは強烈で、とくにネット民たちを歓喜させた。同時に、人々に面白がられることを前向きに捉え、いつもニコニコと変わらぬ態度で天真爛漫に振る舞う剛力の姿は、好感を持たざるを得ないものだった。発表当初はいまいち馴染みの薄かった“めごっち”の愛称も、徐々に親しみを増していった。


 剛力本来の魅力は、この天真爛漫さ、真っ直ぐな健気さにこそあると思う。どんな状況にあっても、いつも笑顔で輝いていられる強さ、本人の弁を借りれば「うざいくらいポジティブ」なのは、彼女の才能だろう。急に目立ったことで白い目で見られていたのが、持ち前の明るさで人気者になるケースは、芸能界に限らずともよくある話である。はじめに誤解があったからこそ、憎めない、いやむしろかわいいと、評価がどんどん変わっていくのは、少し恋にも似ている。ひそかに応援するファンが増えたのも、ごく自然なことではないか。


 ところで、ネットでの反響を追い風に変えたタレントといえば、AKB48の指原莉乃もそのひとりだろう。彼女が九州朝日放送の『アサデス。』にて担当していた料理コーナー「指原莉乃のさしごはん」は、その飾らない態度が良い意味での脱力感を生み、ぼんやりと観ているだけで癒される素敵な番組で、ひとりで食事をする際に鑑賞するのにうってつけだった(ちなみに現在、Netflixなどのストリーミングサービスで視聴できる)。もちろん、指原と剛力ではキャラクターがまったく違うが、人柄の良い女の子が一生懸命料理にチャレンジするという点では、本日放送の『グ・ラ・メ!~総理の料理番~』とも共通しているだろう。剛力が健気に包丁を握る様も、きっと人々の心を温かく満たすはずだ。


 すでに本人が冗談めかして謝罪しているように、グラマーな原作の主人公と剛力のルックスは、決して似ているとはいえない。だが、剛力にセクシーさを求めるファンは、かなり少数派だろう。剛力は剛力らしく、いつもの笑顔で真っ直ぐに料理をしてくれれば、それに勝る調味料はない。金曜の夜に、ひとり夕飯を食べる人々にとって、最良の“おかず”となる番組を期待したい。(松下博夫)