9月3~4日に、ツインリンクもてぎで開催されるWTCC世界ツーリングカー選手権の日本ラウンド。このツーリングカーの世界最高峰バトルに、ホンダ・シビックWTCCで道上龍が緊急参戦することになった。
2013年限りでスーパーGT500クラスのシートを後進に譲り、その後は2014年にGT300でスポット参戦は行ったものの、ここ2年はドラゴ・コルセのチーム代表として忙しい日々を送っていた道上が、ふたたびレーシングカーのコクピットに戻ってくることになった。しかも、その舞台は自身初の“世界選手権”だ。7月21日、ホンダはWTCCもてぎに道上がシビックWTCCでスポット参戦することを発表した。
道上は1973年3月1日生まれ。レーシングカート育ちということもあり、フォーミュラの印象も強いが、1996~97年には当時激しいワークス戦争が行われていたJTCC全日本ツーリングカー選手権にもホンダ・アコードで参戦。ツーリングカーでも素晴らしい速さをみせている。その後もホンダのエースとしてJGTC/スーパーGT、フォーミュラ・ニッポンで活躍してきたが、13年限りで「引退はしていない」としながらも、ドライバーとしてのトップカテゴリーでの活動はほとんど行っていなかった。
そんな道上に、WTCCテストへの誘いが来たのは、6月末のWTCCポルトガル戦の後だったという。その誘いを受け、道上はスペインに渡り、ワークスのホンダ・チームJASでテストを実施。シビックWTCCを初体験した。この時のテストの印象、そしてもてぎ戦への意気込みは、7月22日発売のオートスポーツNo.1436に6ページのインタビューが掲載されているので、ぜひそちらもご一読を。
今回のWTCC参戦に向け道上は「昨年発売された『シビック・タイプR』の開発に携わっていたこともあり、WTCCの情報はずっと見ていました。先週、バルセロナでテストをするチャンスがあり、そのときはシビックWTCCでレースができたらおもしろそうだなと思っていましたが、こんなに早くそのクルマでレースができるとは思ってもみませんでした」と語る。
「自分のキャリアのすべてを注ぎ、全力でもてぎでのレースに挑みたいと思っています。ホンダとJASモータースポーツは、すばらしいチャンスを与えてくれました。バルセロナのテストでは、非常に感触の良い、速いクルマだったので、もてぎまでに準備を完ぺきにしてレースを迎えたいと思います」
また、堀内大資WTCC開発プロジェクトリーダーは「ホームレースで、スポット参戦とはいえ日本人ドライバーにドライブしてもらうことができ、非常にうれしいです。長年ホンダのクルマに乗っている道上選手なので、バルセロナテストでは、すぐにFF車の特性に合わせた感覚を取り戻してくれて、レギュラードライバーのロブ・ハフやティアゴ・モンテイロと遜色のない走りをみせてくれました」と語った。
「もてぎラウンドまであまり時間はありませんが、JASモータースポーツと協力し、全力でサポートしていきます。日本のファンの皆さまにいい走りをみせてくれることを期待しています」
道上のひさびさのレースでの戦いはもちろん、WTCCという舞台で道上がどんな存在感を示すのか、期待せずにはいられない。近年WTCCの日本ラウンドには日本人ドライバーが不在だったが、今年は大いに楽しみなレースとなりそうだ。