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「この愛がいつまで続くか不安」結婚契約書を作れば、深刻なトラブルを避けられる?

2016年07月21日 10:32  弁護士ドットコム

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今は愛し合っているけど、長い夫婦生活では何が起こるかわからない…。そんなときに備えて、結婚前に、婚姻中のさまざまな約束事を事前に定めた「結婚契約書」を用意するカップルも少なくないようです。


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ネット上で「結婚契約書」「婚前契約書」などと検索してみると、契約書のひな形などもダウンロードすることができます。でも、結婚契約書を事前に作っておくことにどんな意味があるのでしょうか。男女の法律問題に詳しい増田勝洋弁護士に聞きました。


 ●どんな意味があるのか?


結婚生活においては、家事の分担や子どもの教育方針、財産の管理、生活費などの負担割合など、夫婦の意見が対立する場面も多くあります。


ときには話し合いで解決できないような事態が生じ、離婚などの深刻な問題に発展してしまうこともあります。


結婚誓約書(契約書)は、あらかじめ夫婦間の約束事を決めておくことによって、そのような事態に備え、ひいては、トラブルを予防しようというものです。


このような誓約書を作成した際の法的効力ですが、たとえば、「契約書に定める条項に反した場合にはただちに離婚する」などと記載されていたとしても、その条項の内容が日本の法律や裁判例と異なる内容を定めた場合、当然には有効とされないでしょう。


そもそも、公序良俗に反するような条項を定めている場合には、規定自体が無効とされてしまいます。


ですから、現在のところ、このような誓約書の効果という意味というと、ある程度の法律知識に基づいて、内容を吟味したうえで作成されたものであれば、裁判になったときに参考資料として認められるといった程度でしょうか。


 ●夫婦間でした契約は、婚姻中に取り消すことができる


なお、民法754条は「夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる」と定めています。


この点、裁判所は、同条にいう「婚姻中」というのは、単に形式的に婚姻が継続されていることではなく、形式的にも実質的にも婚姻関係が継続している場合のことだと考えています。つまり、婚姻関係が破綻している場合は約束を取り消せないことになります。


他方で、婚姻関係が破綻していない場合には夫婦間の契約を取り消せることになるので、この点には注意が必要でしょう。




【取材協力弁護士】
増田 勝洋(ますだ・かつひろ)弁護士
大阪弁護士会、司法委員会、司法修習委員会委員
著書:『事例にみる遺言の効力』(共著、執筆担当)
法律事務所の携帯電話向けサイトURL:http://masuda-law.plimo.jp

事務所名:増田法律事務所
事務所URL:http://www.masuda-law.net/