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北川景子、“大人なドS女性”はハマり役か? 『家売るオンナ』強烈キャラの新しさ

2016年07月20日 09:21  リアルサウンド

リアルサウンド

リアルサウンド映画部

 北川景子主演のドラマ『家売るオンナ』(日本テレビ系)は、7月13日の初回放送で視聴率12.4%を獲得しており、世間の評判を見ても、好スタートを切ったといえる。結婚後のドラマ初出演となる北川自身が「大胆に振り切った作品なので、私自身も新しい挑戦になると思いますし、笑えるシーンもあるので、とにかく楽しんでいただければ」(参考:モデルプレス「北川景子「新しい挑戦になる」圧倒的美貌を誇る、波乱万丈な“ヒロイン”に抜擢<コメント到着>」)と語るように、彼女の新たなる一面が見られる、実に面白い作品となっている。


参考:能年玲奈、女優復帰の道は広末涼子がお手本に? エキセントリックなイメージをどう活かすか


■クールでドSな役が見事にハマった、北川景子


 このドラマは、東京オリンピックを4年後に控え、住宅売買の競争が激しく繰り広げられている東京を舞台に、「私に売れない家はない」とあらゆる手段を使ってでも家を売る、スーパー営業ウーマン三軒家万智の姿を描く物語。北川演じる三軒家万智は、売り上げ成績はずば抜けているが社内では怖れられる人物で、どこかロボット的で感情を表に出さず、笑顔で客に媚びを売るような営業もせず、「人はいずれ死ぬものです」など相手の心理をついた歯に衣着せぬ言動で家を売りまくる。一見、客のプライベートに土足で踏み込んでは相手の弱みにつけ込み、売れない物件を売りつける商売をしているように見えるのだが、実際には買い手側の家族が抱える問題をしっかりと解決してから気持ちよく買わせているため、どこか一本筋が通っていてかっこいいのである。また、昨今ならパワーハラスメントと捉えられかねない厳しい指導も厭わず、ダメな社員にはサンドイッチマンをやるように指示したりして、ダメなりに使いこなす。その様は気を使いすぎてギクシャクしがちな昨今において、むしろ痛快にも映る(ダメな若手社員である工藤阿須加やイモトアヤコも実に良い演技をしている)。


 同役について、新しい挑戦になると語っている北川。彼女のこれまでの出演作を見ると、フジテレビ系で放送されていたドラマ『ブザー・ビート~崖っぷちのヒーロー~』や『謎解きはディナーのあとで』などでは、その美貌を活かし、お嬢様風で勝ち気な性格を持つ役柄を演じていた。しかし、2014年に放送された『HERO 第2シリーズ』(フジテレビ系)では、普段はクールを装っているが、隠しきれないヤンキーの素性を持つドSな事務次官役がハマり役と評され、その後、2015年に放送された『探偵の探偵』(フジテレビ系)でもまったく笑わないクールな役を演じるなど、近年の北川は勝ち気な女性役がハマると実証されている。その流れを考えると、今回の三軒家万智役が見事にハマっているのも不思議ではない。


 そこに新しさを感じるとするなら、存在するだけで場面に緊張感が走るような、凄みが加わっているところではないか。先輩として物事を見通している大人の女性ならではの雰囲気が、演技だけでなくビジュアルからも伝わってくる。もちろん、『セカンドバージン』や『コントレール~罪と恋~』などを手がけてきた脚本家・大石静の手腕もあるが、もうすぐ30歳を迎える北川の品格が、三軒家万智を演じる中で滲み出てきているのかもしれない。


■新しい北川景子の代表作になる予感


 クールで感情を出さず、物事に一本筋が通っている役柄を見て、同じ日本テレビ系列で高視聴率を生んだ名作『女王の教室』の天海祐希や『家政婦のミタ』の松嶋菜々子を思い出した人も多いはず。良い悪いをはっきり言い、我が道を貫く女性キャラは、昨今の視聴者にとって好ましいのかもしれない。前述した2作品のように『家売るオンナ』も順調に進めば高視聴率が期待できる。また、天海や松嶋と並んで“美しくてかっこいい大人の女優”というポジションを、30歳を目前にした北川も手に入れることができるのであれば、女優として大きく飛躍することは間違いないだろう。本日7月20日に放送される第2話では、三軒家万智が引きこもりの息子を抱える夫妻にぴったりな物件として“ひきこもりの城”なるものを提案するらしいが、クールな装いとは相反する豪快な手法がどのように発揮されるのか、固唾を飲んで見守りたい。(本 手)