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スーパーフォーミュラ第3戦富士 関口雄飛 レースレポート

2016年07月19日 20:01  AUTOSPORT web

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2016スーパーフォーミュラ第3戦富士 表彰台
関口雄飛プレスリリース
2016年7月18日

アグレッシブなバトルで魅せた関口雄飛のレーシングスピリット!
デビュー3戦目にして得たスーパーフォーミュラ3位初表彰台。

 今年、念願の国内最高峰レース、スーパーフォーミュラに参戦が決定した関口雄飛は、今シーズンから伊藤忠エネクス株式会社様からメインスポンサードを受ける名門、『ITOCHU ENEX TEAM IMPUL』より、ゼッケン20番をまとってチャレンジしております。

 デビュー戦からファステストラップを獲得するなど、速さをアピールしてきましたが、悪天候などの不運も重なり、開幕戦、第2戦と悔しいノーポイントに終わっていました。

 そして迎えた第3戦富士。関口雄飛はいつものように前日、木曜日に現地入りして体調を整え、金曜日の練習走行に臨みました。朝から天候が崩れ気味の富士スピードウェイ。一時は激しく降った雨もやみ、このままドライかと思われましたが、フリー走行がスタートする頃には再び雨です。

 ウエット路面を得意とする関口雄飛は終始、トップタイムをマークしていましたが、終盤、次第にコンディションが良くなると、ライバルたちに比べてタイムが上昇せず、総合14番手で金曜日の占有走行を終えました。土曜日の天気予報は曇りでしたので、このままでは厳しい戦いが予想されます。エンジニアと遅くまで真剣にミーティングをし、マシンの不安点を洗い出す作業を続けました。

 土曜日までにチームは走行データを解析し、セットアップを大幅に変更して朝のフリー走行を迎えました。天気予報は外れ、路面は再びウエットです。相変わらず雨の難しいコンディションでの関口雄飛は、まるで水を得た魚のようにトップタイムを連発し、ライバルたちにプレッシャーをかけました。

 セッション終盤、雨が止み、路面が乾いてくるとライバルたちが即座にタイムアップしてきましたが、関口のマシンもセットアップの変更が功を奏し、最終的に4番手タイムをマークしてチェッカーを受けました。

 午後2時45分、予選Q1が開始されます。しかし、またしても開始直前に雨。気温21℃、路面温度22℃でウエット路面となりました。これには星野監督も思わず笑顔で「雨が来た!」と声に出してしまったほどです。雨の走りには自信があります。



 ITOCHU ENEX TEAM IMPUL のマシンは、Q1、Q2を2台揃って見事にクリア。関口雄飛はQ1を3番手、Q2を5番手で通過。またしてもQ3へと駒を進めます。今季出場した全戦でQ3進出を果たしたドライバーは、ルーキー、関口雄飛ただひとりとなりました。

 Q1、Q2、Q3と進むにつれて雨あしは弱まり、Q3では大幅に各車がタイムアップするほど、路面コンディションは良くなりつつありました。そんななか、午後3時32分に開始されたQ3で関口雄飛は一気に2番手タイムを刻んできます。しかしセッション終盤でタイムを刻んだドライバーが有利となり、関口が3周目にマークした1分41秒238は、結果的に5番手タイムとなりました。

 日曜日朝のフリー走行は曇りでしたが、前日の雨が残り、フリー走行はウエット宣言がされた路面でした。多くのドライバーがウエットタイヤでタイムを刻んでいるなか、関口雄飛はレース中に雨が降り出した時のことも想定し、スリックタイヤでコースイン。濡れた路面を果敢にアタックして4番手タイムをマークするなどマシンのバランス自体は悪くないことを確認しました。

 次第に路面が乾きはじめ、各車ともスリックタイヤでアタックを開始しはじめた際には、決勝に向けたセットを決めて再度コースイン。しかし1コーナー先でスピンして停止した車両が出たため、その回収で赤旗が出され、アタックすることなくピットに戻りました。

フリー走行は再開したのですが、アタックするだけの時間はなく、そのままピットへ。記録は14番手でしたが、感触的には問題はなく、自信を持って決勝に臨みました。




 午後2時、決勝レースはスタートから波乱に満ちた展開となりました。ポールポジションのストフェル・バンドーン選手と2番手の石浦宏明選手が第1コーナーのブレーキング競争で我慢しすぎて2台ともオーバーランしてしまい、その隙を3番手スタートのジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手が奪ってトップ奪取。後方6番手から素晴らしいスタートをみせた中嶋一貴選手が2番手となり、ベルトラン・バゲット選手が3番手。

 好スタートを見せた関口雄飛でしたが、第1コーナーで飛び出した2台が目の前に戻ってきたことで、接触を避けるためにアクセルを緩めざるをえず、ベルトラン・バゲット選手を仕留めきれないままバンドーン選手と石浦選手の間に飛び込み、5番手で1周目をクリアしました。その後4周目の最終コーナー立ち上がりでオリベイラ選手がミスをし、中嶋一貴選手がトップに立つと、この2台が次第にレースをリードし始めました。

 14周目、第1コーナー先でスピンしたマシンが停止したせいでセーフティーカーが出ます。ここで上位陣は給油のためにピットイン。大きな順位変動もなく、関口雄飛も5番手をキープした形でコースに復帰します。再スタート後も逃げる中嶋一貴選手を追うオリベイラ選手、そして激しく3位を争うバゲット選手とバンドーン選手を、関口雄飛が追う展開です。

 しかし、いち早くピットインしてタイヤ交換も済ませたロッテラー選手が6番手までポジションを上げ、後方から激しく関口雄飛を追い上げます。まさに猛追という言葉がピッタリなロッテラー選手の攻撃に対して関口雄飛は一歩も譲らず、毎ラップ各コーナーで、そして第1コーナーのブレーキング争いで接触寸前のバトルを展開。場内はトップ争いではなく、関口雄飛とロッテラー選手の壮絶なバトルに釘づけとなりました。

 そして20周以上に渡って接近戦を繰り広げたふたりのバトルはヒートアップすると同時に、次第にペースアップし、レース終盤、40周目には前を行くバゲット選手とバンドーン選手の3位争いに追いついてしまいました。

 通常であれば、このタイミングで1番苦しくなるのは、後方からストレートスピードに優るロッテラー選手の攻撃を抑えながらの戦いとなっている関口雄飛のはずですが、ヨーロッパ的な混戦バトルにめっぽう強い関口は、後ろを振り返ることなく46周目のダンロップコーナー進入でバンドーン選手を仕留め、さらに続く47周目にバゲット選手も仕留めて一気に3位に浮上。さらに上位を目指します。

 レースはその後、首位をいく中嶋一貴選手を51周目の第1コーナーでオリベイラ選手がパスして首位を奪取。ITOCHU ENEX TEAM IMPULが1-3体制のまま、55周、長いバトルにチェッカーフラッグが振られました。関口雄飛は、見事、スーパーフォーミュラのデビュー3戦目にして3位表彰台を獲得しました。

 星野一義監督の目に涙が浮かんだチェッカーの直後、激しく首位を、そして3位を争ったトムスの舘信秀監督が星野監督のもとへ、お互いの健闘を称え、祝福の握手を求めに訪れてくれました。改めてモータースポーツの素晴らしさを感じさせてくれたレースでした。

■関口雄飛のコメント
「金曜日からずっと、雨量の多い時にはトップタイムを出せるのですが、乾いてくるとみんなと比較して自分のタイムの伸びがいまひとつで、その原因をエンジニアさんと探し続けました。土曜日の朝、それを試したらかなりいい方向にいったのですが、まだ決めきれてはいない状態でした」

「それでもQ1は雨も強く、いい感じでまとめることができました。Q2、Q3は結果には納得できるのですが、同じルーキーのバンドーン選手にポールポジションを獲得されたことや、チームメイトに負けたことを考えると、本当に悔しさが残る予選でした」

「決勝は気持ちを切り替えてスタートしましたが、前半の燃料を積んだ状態ではトラクションが悪くてペースが上がらず、正直、苦しかったです。ロッテラー選手が激しく攻めてきて何度か危ない場面もありましたが、ブレーキングではそれこそ止まれなくても絶対に引かない、という意識で粘り続けました」

「あそこで守りきれたからこその3位だと思います。トップに迫るだけの速さはなかったですが、誰よりも強いレースができたと思います」

「ここに来るまで本当に苦しい期間を過ごしてきましたが、その間も支えてくれたスポンサーさんや、その後迎えてくれたトヨタやバンドウ・チーム、そして精神的に厳しかった時に助けてくれた脇阪寿一さんのおかげで、名門IMPULで、こうしてスーパーフォーミュラで表彰台に立つチャンスを掴めました」

「ここまでの2戦、早く結果を出したかったですが、いろいろ不運などもあり、なかなか結果を出せないなか、なんとか3戦目で3位になれて嬉しかったです。チームメイトに負けたのは悔しいですが、激しいバトルの最中に、星野監督がガンガン行け、と背中を押してくれたことも嬉しかったですし、大きかった」

「本当に応援してくださった皆さんや、ITOCHU ENEX TEAM IMPULチームの全員に感謝しています。今日はまず、3位表彰台を嬉しく思います」

■レースのダイジェスト映像はJRPのホームページ、下記リンクにてご覧いただけます。
http://superformula.net/sf/enjoy/video.shtml