2016 SUPER FORMULA
P.MU/CERUMO・INGING Race Report
第3戦富士スピードウェイ
◆7月16日(日)決勝
天候:曇り|コース状況:ドライ
#1 石浦宏明 6位/#2 国本雄資 リタイア
全日本スーパーフォーミュラ選手権第3戦の決勝レースは、わずかなミスが大きく結果を左右する、手に汗握る戦いが終始繰り広げられた。予選2位の石浦はスタート直後にポジションを落とすも、6位まで挽回してポイント獲得。国本は他車からの追突を受け、悔しいリタイアとなった。
決勝日の富士スピードウェイも、上空は分厚い雲に覆われたものの、予選日のように雨が落ちてくることはなく、路面状況は次第にドライコンディションへ。朝一番の走行セッションとなったスーパーフォーミュラのフリー走行も、ウェット宣言は出されたが、大半のマシンがスリックタイヤでコースへと向かっていった。走行時間が20分を過ぎると、マシンの通るラインは乾き全車がタイムを削ってくる。石浦も終盤に1分32秒537のトップタイムを記録。その後1台にかわされ最終的には2番手タイムとなったが、この週末で初めてドライタイヤを装着しての走行で、調子の良さを見せた。一方の国本はセッション終盤にプリウスコーナーでスピンを喫しマシンを止めてしまったために、最後のアタックができずに決勝レースへと臨むこととなった。
気温、路面温度ともにフリー走行と比べ大きな変化なく、決勝レースを迎えることになったが、サポートレースの走行が続き、路面状況は完全に乾いた状態になった。スタート進行前に行われる8分間のウォームアップ走行を終え、石浦は2番手グリッドへ。上位のマシンが1台出走を取り消したため、国本は12番グリッドへとマシンを進めた。スタートシグナルのブラックアウトとともに抜群のスタートを見せた2台は1コーナーまででポジションアップを狙うが、石浦はポールシッターのストフェル・バンドーンにつられる形でコースオフし、6番手までポジションを落としてしまう。さらに4周目のプリウスコーナーでもコースオフ。石浦は8番手から追い上げのレースを展開していくことになった。
国本のマシンがコース上にストップしてしまったため、レースは16周目にセーフティカーが導入された。このタイミングでほぼ全車がピットイン。ガソリン補給のみでコースへと戻っていく。石浦も隊列に並びピットイン。このセーフティカー導入前にピット作業を済ませたマシンがポジションアップに成功したため、石浦は10番手でコース復帰となった。20周目にレース再開。リスタート直後から、前を走るナレイン・カーティケヤンとの激しい攻防が繰り広げられる。両者のラップタイムはほぼ同じで、わずかに相手が差を広げれば、翌周には他方が差を詰めかえすという戦いが、レース終盤まで、実に30周以上にわたって続いていった。2台は争いながらもじわじわと順位を上げていき、石浦は7番手で最終ラップイン。この時点で2台の差はわずか0.4秒だったが、最終セクターに入るダンロップコーナーでカーティケヤンがオーバーランを喫する。このチャンスを見逃さなかった石浦は猛攻を仕掛け、2台は並走状態で最終コーナーへ。ほぼ同時にチェッカーフラッグを受けるが、わずかに前に出たのは石浦。1000分の7秒差という目に見えないほどの僅差でバトルを制し、6位にポジションを押し上げてのゴールとなった。
ドライバー/#1 石浦 宏明
「バンドーン選手とのスタート勝負は1コーナーで前に出たいと思っていたのですが、相手の動きにつられて自分もミスしてしまいました。更にプリウスコーナーでもミスから順位を落とし、そこからはとにかく1台でも抜こうと、最後の最後までチャンスを狙っていました。他のドライバーが、オーバーテイクシステムをどれだけ使っているかも、チームと無線でやり取りしながら計算していましたね。あきらめずに走って、ポイントが少しでも多く獲れてよかったです。シリーズランキングを見ると、今日のレースではポイントが分散したようで、トップとの差は縮まりました。レースとしてはあまり良くなかったですが、チャンピオン争いのことを考えれば、そこまで落ち込む結果ではないかもしれません。後半戦も取りこぼしのないようしっかり戦っていきたいと思います」
ドライバー/#2 国本 雄資
「1周目のヘアピンコーナーで、後ろにいたマシンに追突されてスピンしてしまいました。何とか動き出せたので、追い上げようと頑張ったんですが、マシンにダメージを受けて、走行中に異音も聞こえるようになったので、ゆっくりピットに戻ろうと思った矢先、急に動きがおかしくなって1コーナーで止まってしまいました。すごくいいスタートが切れて順位も上げていたので、追突さえなければポイントも獲れる位置まで行けたと思うと悔しくて仕方ありません。今週は予選も決勝レースも流れが悪かったです。次戦のもてぎ大会までにテストもあるので、しっかり気持ちを切り替えてシーズン後半戦に臨みたいと思います」
監督/立川 祐路
「石浦のスタート直後のコースアウトは、攻めの姿勢で戦った結果なので仕方のないこと。ただ、なんとか挽回はしたかったですね。とはいえ、そう簡単に抜けないレースで、最終ラップのチェッカーフラッグ目前で抜いたというのは大きかったです。今回のレースではランキング上位にいたドライバーがポイントを獲れなかったため、チャンピオンシップではトップとの差を詰めることができました。ミスは最小限に収めたかなという感じです。国本もスタートは良かったのですが、オープニングラップに追突されたのが全てでした。うまくいかないレースウィークとなってしまいましたが、幸い国本もランキングは石浦より上の3番手にとどまっています。もてぎ以降の後半戦が勝負になってくると思っています。今年のポイント争いは本当に熾烈なので、残り4戦、2台ともにチャンピオンを争っていけるようなレースをしていきたいと思います」
総監督/浜島 裕英
「国本は予選で上手くいかずに追い上げのレースになりましたが、止まってしまうまではいいタイムで走っていました。ですから、アクシデントでクルマが壊れてしまったのは本当に残念です。決勝中のタイムが良かったことを糧にして、次戦以降頑張ってもらいたいです。石浦も、新しいパーツに対しての攻略の手がかりをつかめたようです。2台ともに厳しいレースになりましたが、そういう面では収穫もありましたから、これを後半戦に活かしていきたいですね」