ルイス・ハミルトンは、今後一度に2基の新パワーユニットを投入することをメルセデスに提案しており、より多くのペナルティを受ける覚悟もあるという。ハミルトンはオーストリアGPで新たなPUを導入し、これでターボチャージャーとMGU-Hは上限の5に達している。まだまだシーズン半ばであり、後半戦を考慮すると、今後、どこかのラウンドでの10グリッド降格のペナルティは、ほぼ避けられないものとなった。
2015年中盤のルール改正により、1レースで複数のペナルティを犯した場合のグリッドは、最後尾になることが決まっている。メルセデスはシーズンを最後まで走り切れるだけのコンポーネント数を確保するため、今後は2つの新PUをハミルトンに与えるタイミングを考えなければならない。
ただし、2基を同時に投入ことするで、その後のPUのアップデートや信頼性向上を図ることができなくなる。その、一方でタイトル争いをするロズベルグには、アップデートされた新PUを使用するチャンスが残される。新PU導入に関する決断は夏季休暇の後に下されると考えられており、ハミルトンは以下のように語っている。
「これは自分で考えだした解決法だ。いつか、(規定数以上のPU使用は)絶対にやることになると思う。新たなエンジンはどうしても投入しなければならない。問題は、いつやるかだ」
エンジンに問題が発生してから交換を余儀なくされるよりは、オーバーテイクのチャンスがより多いサーキットでの交換を望んでいると、ハミルトンは言う。
「戦略担当がすべてのレースを見て、『このコースはオーバーテイクがしやすい』などの情報を教えてくれる。最後尾から最高の仕事ができるのが、どのサーキットかを知っているのは僕なので、最終的には僕の判断になる。戦略的に決めなければならないけれど、一度に何基かのエンジンを投入できればいいね。どこかの段階で新たなエンジンに変えることを望んではいるが、いま乗っているものをできるだけ長く使いたい」
エンジン交換にはスパやモンツァが適しているのではないかと聞かれると、「良い考えだけど、僕が考えているのはそこではない」とハミルトン。
メルセデス・モータースポーツのトップであるトト・ウォルフは、ペナルティは避けられないとしても、2基のPUを同時に投入する必要が生じないことを願っていると言う。
「状況がどうなっていくかは、まだわからない。ペナルティは絶対ではないが、可能性としてはかなり高い。当初の計画では4基でシーズンを終えるつもりだったが、いまは5基目になっている。6基目が必要ならそうする。ここ数戦の我々は不運だったけれど、それだけあれば十分だと考えている」