5月28日に電撃的に発表された全日本スーパーフォーミュラ選手権へのタイヤ2スペック導入計画。スーパーフォーミュラの将来をも左右する新スペックタイヤの開発を率いたヨコハマ・モータースポーツ・インターナショナルの開発本部長、秋山一郎エンジニアに話を聞いた。
日本レースプロモーション(JRP)の倉下明社長が第2戦岡山で行われたサタデーミーティング会見で明らかにした2スペック目の“ソフトタイヤ”導入計画。これは「前任者の白井(裕)から進めていたプラン」だというが、秋山エンジニアによれば、「具体的なオファーがあったのは、(1月の)東京オートサロンだったと思う」とのこと。
「5月に富士でテストを行いました。なので、実際にタイヤの試作を始めたのは4月頃でしょうか」
「5月(の富士テスト)のあとは、第2戦岡山を挟んで、6月にSUGO、もてぎで各陣営から1チームずつ評価を行ってもらいました」
実際に開発を始めてから、実戦投入までわずか4カ月。秋山エンジニア率いる開発部隊は、この短期間でJRPが要望する『レースに変化をつける』タイヤを作り上げたことになる。
「目標としていたものを達成できたとは思いますが、もう少しメリハリのあるものを望まれていたかもしれませんね。ただ、(開発が)短期だったことに加え、テストも難しいものがありました」
「求められていたのは、レース中に交換して作戦に幅を持たせ、レースに変化をつけるタイヤです。そのため、このタイヤでこのセッティングで走れば、タイムが2秒向上する、といったタイヤづくりとは違ってきます」
「要求を満たすには(レース中に)同じ車体バランスのまま、ミディアムからパッと交換して、タイムが向上する必要があります。このあたりは難しかったです」
こうして短期間で新スペックのタイヤを作り上げた秋山エンジニア。開発にどれだけの苦労があったかは想像に難くないが、最後に「(これから)チームは大変だと思いますよ」とつけ加えた。
「基本的に、今日は『これがもてぎに投入するタイヤです』という形のテストでした。そして、(5月~6月の)テストに携わったチームも、しっかりと走りこめている訳ではありません」
「加えて、事前にアナウンスはしていましたけど、もてぎで使うタイヤを(サーキット特性の異なる)富士で渡しているわけですからね」
このソフトタイヤを巧みに使って、どう勝利を手にするか。およそ1カ月後に控えた第4戦は、これまで以上にドライバーとチームの力量が試される一戦となる。