2016年07月19日 10:32 弁護士ドットコム
「知らないおじさんにめっちゃ卑猥なことをお願いされた」。人気声優の田村ゆかりさんが、駅のホームでそんな体験にあったことを報告するツイートが話題となった。
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どんな言葉を投げかけられたかという点については、「卑猥すぎてネット上で書くことができない」としつつも、「単語がアウトだと思う」としている。
他の投稿サイトにも、「お姉さん今、生理?」「おしりおっきいね」など、性的な言葉を投げかけられたという女性の被害は数多く報告されている。
卑わいな言葉を女性になげかける行為は、どんな罪になるのか。眞鍋淳也弁護士に聞いた。
「わいせつ犯罪として、まず、強制わいせつ罪(刑法176条)が考えられますが、罪が成立するためには『暴行または脅迫』があることを要件にしています。
今回のケースのように、性的な言葉を投げかける行為自体は、暴行にも脅迫にも該当しませんので、強制わいせつ罪は成立しません」
眞鍋弁護士はこのように述べる。では、女性に卑わいな言葉を投げかけることは、法的に問題ないということだろうか。
「そうではありません。各都道府県が設定する迷惑防止条例違反に該当することになります。たとえば、本件行為が東京都内の駅ホーム内で行われた場合、東京都の迷惑防止条例違反になると考えられます。
同条例では『粗暴行為(ぐれん隊行為等)』が禁止されています。具体的には、次のような条文です。
『何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であって、次に掲げるものをしてはならない』(5条1項)。
そして、同項3号で『人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること』が禁止されています。
つまり、本件のように駅のホームで性的な言葉を投げかける行為は、『公共の場所』での『卑わいな言動』であり、『人を著しく羞恥させる』行為として、東京都の迷惑防止条例5条1項3号に違反すると考えられます。
この場合、違反者には刑罰(6月以下の懲役または50万円以下の罰金)が課せられることになっています(同条例8条1項2号)」
眞鍋弁護士はこのように述べていた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
眞鍋 淳也(まなべ・じゅんや)弁護士
監査法人での公認会計士としての10年超の実務経験ののち、弁護士登録。公認会計士としての経験を活かし、粉飾決算に関する損害賠償事件、税務訴訟などを多く手掛ける。ベネッセの個人情報漏えい事件の弁護団長も務める。また、刑事事件では、裁判員裁判対象事件や脱税事件等の複雑な事件のほか、身近な刑事事件も多く経験している。
事務所名:南青山M's法律会計事務所
事務所URL:http://ms-lawyer.jp/