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ユーロF3の事故処理に批判殺到。「ビアンキの命日に残念なこと」

2016年07月19日 09:21  AUTOSPORT web

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2016年ユーロF3 ザントフールト
17日にザントフールトで行われたフォーミュラ3ヨーロピアン選手権決勝で、マシンがコースアウトした際の対処に批判が集まっている。セーフティカーを導入することなく、ウォール脇でストップしたマシンを撤去するためのクレーン車が出動したためだ。

 この一件は、2014年の日本GP決勝でのジュール・ビアンキの事故から何も学んでいないと言う批判を生んでいる。雨の中、ビアンキはコースアウト、その場所にはそれ以前に飛び出した他のマシンを撤去するためにクレーン車が出ており、ビアンキはそこに激突した。重傷を負ったビアンキは2015年7月17日に死去した。

 FIAはビアンキの事故処理について過失も規則上の欠陥もなく、不運な偶然が重なった結果であるとしながらも、さらなる安全性向上のための対策に取り組んでいる。

 しかし17日に行われたF3レースで、セーフティカーを出さず、イエローフラッグ提示の状態でクレーン車がコース脇に出動、モータースポーツ関係者がこの措置に怒りを示した。

 元F1ドライバーのデイモン・ヒルは「ジュール・ビアンキの一周忌にこんなことが起こるのは残念なことだ」と発言。

 若手ドライバーたちからも、「レースをしている状態でクレーン車を出動させてほしくないって、いつになったら分かってくれるの?」「経験から学ぶべきだ。1年前、僕らはジュールを失った。その同じ日に同じことをするなんて」といった声が出ている。
 このレースで2位を獲得したニック・キャシディは「無線で『ニック、ターン8とターン9は気をつけろ。コース上にクレーン車が出ているぞ』と言われた。無線で聞かされたくない言葉だったよ!」と後にツイートしている。

 モトパーク・レーシングのボス、ティモ・ランプフケイルは「おかしなことだと思わないか? あれを見て、本当に驚いた」と語った。

「(レースコントロールに対する)無線で(ハイテックGPのディレクター)オリー・オークスが苦情を訴えており、プレマも不満を表明していた」

「あれは非常に危険だったと思う。コースオフしやすい状態だったし、誰かがクレーン車にヒットする場面など絶対に見たくない」

「難しいサーキットでクレーン車が出動している状態でレースをするというのは、完璧な対処とはいえない」

 ランプフケイルは、F1が導入したバーチャル・セーフティカーについてはF3ではテスト段階であり、実践する段階に入ったという確信は持てないと述べている。