スタート直前に降り出した気まぐれなブリティッシュウェザーによって、セーフティーカーが導入する中、スタートが切られたイギリスGP。同じくウエットレースとなったモナコGP後にも今年のピレリのウエットタイヤについて解説したが、イギリスGPではさらに新しい情報が追加された。
今季のピレリのウエットタイヤは第4戦ロシアGPから新しくなっており、レースで実戦投入されたのは、第6戦モナコGPが最初。その後、実際にレースで使用されたのは今回のイギリスGPで2度目の実戦となったのだ。そのイギリスGPではビレリの関係者から、今季のウエットタイヤについて、溝が新しい形状となっていることを聞いた。
これまでピレリのウエットタイヤの溝は、側溝のように四角い形状をしていた。ところが、新しいウエットタイヤはその溝の底が丸みを帯びた形状に変更されているというのだ。
その狙いは、ピレリ関係者によれば「排水のスピードを上げるため」だという。その改良のせいか、大雨が降った直後にスタートが切られたイギリスGPでは、セーフティカー先導によるスタートということもあったが、誰ひとりコースアウトする者もいなかった。トレッドパターンはこれまでと変わっていないようだが、溝の形状変更で排水量が大きく向上し、ハイドロプレーニング現象が起こりづらくなったのだろう。
さらにドライバーによっては、「5周のセーフティカーランは少し長かったね。2周後に再スタートできたと思う」と言うほど、ウエットタイヤのグリップ性能も、それまでのウエットタイヤに比べて向上していたようだ。
新しいウエットタイヤは、これでモナコとシルバーストンということなるキャラクターのコースで使用され、チームは貴重なウエット走行データを蓄積することができた。後半戦には、スパや鈴鹿といった雨が降る可能性が高いグランプリが待っている。今後は各チームのウエットタイヤの使い方にも注目したい。