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SF富士:ブレーキパッドの摩材変更でチーム、ドライバーが四苦八苦

2016年07月18日 00:51  AUTOSPORT web

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SF第3戦富士で各チームが使用した新しいカーボン製ブレーキパッド。温度管理が難しくなったという。
今回のスーパーフォーミュラ第3戦は、抜きつ抜かれつのバトルが各所で起こる好レースとなったが、そのバトルに大きく影響し、そしてアクシデントの一因にも関係していたのが、今回から変更されたブレーキパッドだった。

 スーパーフォーミュラのブレーキはワンメイク品でどのチームも同じ共通パーツを使用しているが、ブレーキも同じ。ただ、スーパーフォーミュラのブレーキパーツを受け持っていたメーカーが、製造しているカーボン製ブレーキパッドの素材が入手困難になった事情があり、この第3戦富士から全車、メーカーはこれまでと同じながら、これまでとは異なる摩材によるブレーキパッドを使用していた。

 ご存じのとおり、現在のスーパーフォーミュラは1秒以内に10数台が競い合う超接近戦のワンメイクのコンペティション。前日の予選でも3番手から8番手がコンマ2秒内という僅差なだけに、それこそ、ブレーキの変更はドライバーにとっては大きな影響を及ぼす。ブレーキのフィーリングひとつで、それこそコンマ数秒は簡単に変化してしまうのだ。

 さらに今回、この新しい摩材によるブレーキパッドの使用が難しくなったのが、金曜から土曜、さらには日曜午前のフリー走行まで、すべてウエットコンディションになってしまったこと。ドライセッションでのロングランがまったくできないままレースとなったため、どのチームもドライバーも、ブレーキの温度管理やマネジメントを手探りで行わなければいけなくなったのだ。


■上位陣のブレーキダクトをグリッドでチェック

 実際、ブレーキがどの程度の耐久性なのか、そして温度管理はどのようにすればよいのかチーム側は判断しかね、各チームで対応が変わった。具体的にはブレーキの冷却ダクトにどの程度の空気を入れるべきか、ダクトの一部をテープで塞ぐチームや完全オープンにするチームなど、さまざまな状況が見られた。

 雨という不運な要素が重なったとは言え、レースでは複数台のマシンにブレーキトラブルが現れ、ドライバーやチームからはレース後、懸念の声が多く聞こえた。当然、問題がなかったチーム、ドライバーもいるが、やはりレース、特にスーパーフォーミュラはトラブルやアクシデントではなく、ドライバー同士のコース上での戦いで順位を争ってほしいと思うのは皆同じなはず。

 ブレーキメーカーに供給する素材メーカーの事情とはいえ、今後、どのような対策が取られるのか。せっかくの好レースに水を差しかねない問題だけに、慎重な議論とともに、ドライバー、チームへの理解が求められることになる。