今シーズン、空力パーツのアップデートを何度も模索しているウイリアムズ。イギリスGP、そしてその後のシルバーストンテストでフロント、リヤともさまざまなバージョンをテストしており、テストでは奇抜な形をしたダブルデッカー・リヤウイングも登場した。
こちらはイギリスGPで投入された新しいノーズとフロントウイング。ウイリアムズは今年、バーレーンGPからそれまでのショートノーズをさらに短くした超ショートノーズを投入していたが、今回はその超ショートノーズのステー(ノーズとフロントウイングをつなぐ部分)の形状をモディファイしてきた。
このまでのステーは前方へ一定の角度をもって傾斜していたが、モディファイされたステーはその傾斜が途中からほぼ垂直に下がる形状となっている(写真赤色矢印の部分が角度が変わるところ)。
また、フロントウイングはカスケードウイングの支柱の下側に小さなスリットが入り(写真水色矢印)、そのカスケードウイングの上面に小さなバーチカルフィンが1枚追加された(写真黄色矢印)。さらに、これまではほぼ垂直に立っていたカスケードウイングの内側の大きなバーチカルフィンが、かなり車体外側に反り返った形状となっている(写真紫色矢印)。
この新しいフロントエンド・パッケージは、オーストリアGPでフェリペ・マッサのマシンで試されたが、オーストリアGPのレッドブルリンクで追加された黄色い縁石問題の影響もあってか、予選後に信頼性の問題が発覚。レースへの投入をあきらめるとともに、異なる仕様の空力パッケージにしたため、マッサはピットレーンからのスタートを余儀なくされた。
イギリスGPではバルテリ・ボッタスのマシンにこの新型ウイングが装着されたが、「今年のイギリスGPは例年にも増して風が強かったため、セッティングを煮詰めることができずに実戦投入を断念することにした」(スポーティングマネージャーのスティーブ・ニールセン)という。
結局、オーストリアGP&イギリスGPの2週連続開催を、ウイリアムズは新しいフロントエンドパッケージを使用することができず、厳しい戦いを強いられることになった。