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「あるべき女」論を説く上司「自分で弁当作れ」「結婚しろ」…どう対処すれば?

2016年07月16日 09:42  弁護士ドットコム

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自動車ディーラーで営業をしていたという女性が、弁護士ドットコムライフの体験談募集コーナーに、過去のセクハラ被害を投稿しました。


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女性が働いていたのは、地元では大手の自動車ディーラー。男性ばかりの職場で、容赦なくノルマ達成を求められる厳しい職場だったといいます。女性はそうした環境にめげず、「ここを耐えて慣れていけば、楽になる」と信じて働き続けましたが、結果として、職場に慣れる前に退職をすることになります。きっかけは、本社の重役や店長からの「セクハラ」でした。


「女なら自分で弁当を作ってこい」「仕事をするのもいいが、女なら早く彼氏を作って結婚しろ」「コーヒーぐらい上手く淹れろ」...。時にはひそひそ声で、時には他の社員にも聞こえるような大声で、再三にわたり、「女ならこうあるべき」という言葉をぶつけられたそうです。


店長から営業のノウハウを教わった時は、顧客と営業職の関係を、「顧客=彼氏=店長」、「営業職=彼女=私(女性)」と例えられた上で、「彼女とラブホテル行こうと思ったら、たくさんおごったり、貢いだりする」と言われたそうです。女性は、「ラブホテルという単語が出ただけでもイヤでしたが、その男女が店長と私という前提だったため、本当に気持ち悪かったです」と振り返ります。


そういった発言は日常的に続きましたが、誰かに相談しようにも、「セクハラをされている」と言うことに抵抗があり、打ち明けられなかったといいます。その後、女性はどんどん仕事に行くのが嫌になり、ついには医者も原因不明とする謎の高熱を出し、自力で歩けない状態に陥ってしまいました。熱が下がり、出社した女性は、その日のうちに辞表を提出し、退職したそうです。


この女性のように、職場でセクハラを受けた場合、どのように対処すればいいのでしょうか。養父知美弁護士に聞きました。


 ●店長や会社に慰謝料を請求できる可能性も。1人で悩まないで!


まず、「女ならこうあるべき」といった性別の役割分担意識にもとづく言動によって、社員に不快な感情を抱かせることは、ジェンダー・ハラスメント(性差別的嫌がらせ)となります。一方、性的な言動によって社員に不快感を与える場合は、セクシュアル・ハラスメント(セクハラ)となります。


男女雇用機会均等法上は、「性的」な性質を持たないジェンダー・ハラスメントは、セクハラには当たらないとされるものの、セクハラの原因や背景になるとして、なくしていくべきとされています(セクハラ指針・厚労告383)。


業務に関連して行われたセクハラやジェンダー・ハラスメント(以下、「セクハラ等」)が原因で退職に追い込まれた場合、そのような発言をした社員だけではなく、会社に対しても、退職による経済的損失や慰謝料を請求することができます。


問題は、セクハラ等が原因で、退職に追い込まれたと言えるかですが、立証はそう簡単ではありません。また、セクハラ等にあたることを「言った・言わない」が争いになることも多いです。


スマートフォンなどで発言を録音できればいいのですが、それができなくても、セクハラ等の内容や、身体的・精神的な不調を具体的に記録しておく、医者にかかっておく(診断書やカルテが証拠になる)、セクハラ等の発言をする社員本人や会社に対してメールなどで抗議しておく、友人などに相談しておく(メールの文面などが証拠になる)とよいでしょう。


セクハラ等で悩んだ場合は、1人で抱え込まず、誰かに話すだけでも、気持ちが楽になったり頭が整理できたりします。相談できる人が周りにいなければ、弁護士に相談をしていただければと思います。




【取材協力弁護士】
養父 知美(ようふ・ともみ)弁護士
大阪弁護士会 法務省人権擁護委員。堺市男女平等委員会委員。認定NPO法人WAN(ウィメンズアクションネットワークhttp://wan.or.jp/)理事

事務所名:とも法律事務所
事務所URL:http://www.tomo-law.net/