2回目の鈴鹿8耐テストを終えた翌日、F.C.C.TSRとハルク・プロのライダーたちがホンダ青山本社に集結。取材会が行なわれた。
F.C.C.TSR藤井正和監督は「鈴鹿8耐に今年も参加できることがうれしい。いろいろつらいこともあったりするけれど、それ以上にもうすぐウイークを迎えることがうれしくてたまらない」と語る。
「鈴鹿8耐というのは、私にとっては難攻不落の山。毎年チャレンジするけれど、いつも同じ状況ではない。その中で山登りのためにあえて違う山を登ることで鍛えてきた」と、ル・マン24時間耐久レースも、ポルティマオ12時間耐久レースもすべて鈴鹿8耐での勝利のためだったと言う。
エースライダーの渡辺一馬は「ル・マン24時間、ポルティマオ12時間で積んだ経験の成果を、鈴鹿8耐で現すことができるように頑張る」と誓う。
「2回のテストで100パーセント満足とは言えないけれど、一つ一つ課題をクリアしてきた。パーツの選別、タイヤの選別もできた。まだ課題はあるけれど、その課題も明確だからレースウイークに向けて詰めていきたい。トップとは差があるけれど、ライダーとしてできることを精一杯やりたい。そして、TSRはそれができるチーム。モチベーションを持って8時間、精一杯に戦い抜きたい」と闘志満々。
鈴鹿8耐初挑戦となるパトリック・ジェイコブセンは「経験豊富なチームと一緒に戦えることに誇りを感じる。走行するたびにスピードも上がっているし、調子も上がっているから、これからが楽しみだよ」と話す。
「確かにトップとの差はまだあるんだけれど、まだまだやれることはいっぱいある。今もまだマシンは進化している。みんなで一緒に考えて最善の策を練っている。何よりも本番になると脳のスイッチが入るから、最善を尽くして力をすべて出し尽くせば結果につながるって信じているんだ」と自身をのぞかせる。
パトリック・ジェイコブセンはWSSに参戦中だが、ハルク・プロから鈴鹿8耐に参戦するニッキー・ヘイデン、マイケル・ファンマークとは同じチームに所属している。その3人が密かに『だれが一番速いか』という競争をしているのだという。
「鈴鹿8耐では違うチームに所属するけれど、それぞれがそれぞれのチームで力を尽くせればいいと思う。まあ、一応言っておくけれど、今回のテストでは3人のうちで僕が一番速かったよ」
パトリック・ジェイコブセンはそういって会場を沸かせた。
ハルク・プロの本田重樹監督は「去年は残念な結果に終わった。今年はリベンジすべくニッキー・ヘイデンという強力な助っ人が加わった。チームワークを最大限に活かして、忘れてきた優勝カップを奪還したい」と勝利宣言。
エースの高橋巧は「去年は優勝がねらえる最高の体制だったのにアクシデントでリタイアとなってしまった。悔しい気持ちしか残っていない。今年も最高の体制で走れるので、王座奪還に向けて頑張りたい」とリベンジ宣言。
「本当は最初のテストでもう少しいい状態にマシンを仕上げて、マイケル・ファン・デル・マークとニッキー・ヘイデンの二人に乗ってもらいたかったのだけれど、そこまで詰め切れなかった。二人にフォローしてもらいたいという気持ちだった。でも、せっかく3人がそろった2回目のテストは天候が安定せずに十分なテストができなかった。それでも課題が明確になった。少しでも戦えるマシンに仕上げられるように、3人で協力していきたい」と言う。
マイケル・ファン・デル・マークは「いろいろな思いがあって、語りきれない。ただ、一言で言うなら目標は一つ。『優勝カップを手に入れること』だ。チームと力を合わせて頑張りたい」とリベンジを誓う。
「テストは天候に恵まれなくて残念だったけれど、去年よりもバイクがよくなっていると思う。しかもテストで進歩していることが実感できる。その成果をウイークで現したい」と語った。
そしてニッキー・ヘイデンは「僕は勝つために日本にきたんだ」ときっぱり。
「MotoGPでもSBKでも勝ったけれど、鈴鹿8耐の優勝経験はないから、是非とも鈴鹿8耐優勝カップを手に入れたい」
SBKアメリカラウンドを終えた翌日に鈴鹿8耐テストのために緊急来日したヘイデン。
「母国ラウンドだったから忙しいウイークだった。風邪もひいてしまった。でも鈴鹿は好きなサーキット。久しぶりのコースだし、レイアウトが変わっているから、それに慣れる必要があるんだけれどね。今回は参戦できてうれしいし、鈴鹿8耐ウイークも楽しみたい」
今回のテストは天候に恵まれなかったことで、ひどい暑さにはならなかった。
「僕は高温多湿のアメリカの南部生まれだから、それほど暑さには弱くない。逆に寒いヨーロッパでのレースの方がつらい。マレーシアラウンドは確かに暑いけれど、それを楽しみにしている僕がいるくらいさ」
本田監督は「ヘイデンと一緒に仕事ができることを楽しみにしていた。実際に二日間のテストを共にしたが、ずっと前から一緒に仕事をしているような感覚になった」と言う。すでにヘイデンはハルク・プロのライダーだ。