今週末、ドイツのザクセンリンクでMotoGP第9戦ドイツGPが開催される。全18戦で争われる2016年シーズンも今レースで折り返し点。ドイツGPが終わると、8月14日に開催される第10戦オーストリアGPまでサマーブレイクとなる。
ザクセンリンクは、旧東ドイツのケムニッツという町の近郊にあるサーキット。もともとは1960年代から1970年代にかけて公道レースの東ドイツGPとして開催されていた歴史を持ち、旧東ドイツ時代からレースの盛んな土地柄にあるコースだ。
現在のザクセンリンクがオープンしたのは1996年で、1998年以降はドイツGPのホストサーキットとして定着している。ザクセンリンクは1周3.671kmとGP開催コースの中で最も全長の短いコースで、右4、左10のコーナーから構成されている。
1周のアベレージスピードはMotoGPクラスで160km/h前後の中低速コースで、コース前半はテクニカルな中低速コーナーが連続し、コース後半は中高速コーナーというレイアウトを持つ。
また、アップダウンが多く、抜き所が少ないことから、予選グリッドやスタートが決勝レースに向けて重要となる。
昨年のMotoGPクラスではマルク・マルケス(レプソル・ホンダ)が優勝、ダニ・ペドロサ(レプソル・ホンダ)が2位、バレンティーノ・ロッシ(モビスター・ヤマハ)が3位に入賞。Moto2クラスではハビエル・シメオン(カレックス)、Moto3クラスではダニー・ケント(ホンダ)が優勝した。
MotoGPクラスでは、マルク・マルケス(レプソル・ホンダ)がランキングトップをキープ。ザクセンリンクではMotoGPクラス参戦初年度の2013年から昨年までマルケスは3連勝と負け知らず。今年の活躍も間違いないだろう。
「表彰台を目標に、優勝争いにトライしたい。ザクセンリンクは、ボクにとってすごくいいコース。うまく順応できる。もしかしたら、ダートコースのように左回り多いからかもしれない」
「ここは天候が重要な役割となるから、様子を見たい。過去から学び、今年は1戦1戦に取り組んでいる。とにかく、レースに戻れることがうれしい。サマーブレイク前にいい結果を獲得するためにベストをつくそう」
ランキング2位のホルヘ・ロレンソ(モビスター・ヤマハ)はカタルニアGPで不運な転倒リタイアに終わり、オランダGPでも悪天候に苦戦し、10位と低迷。マルケスとのポイント差は25ポイントに開いてしまった。ザクセンリンクはロレンソにとって優勝経験のないコース。昨年は4位と表彰台を逃した。
「サマーホリデーを前にいい結果を獲得したい。アッセンはあれほど難しいレースになるとは思ってもいなかったけど、チャンピオンシップにとって重要なポイントを稼ぐことができた」
ザクセンリンクは一度も優勝したことがないサーキット。ボクとYZR-M1にとって常にチャレンジングなコースだけど、今年は電子制御とタイヤが違うので、どうなるか分からない。今回は戦闘的になれるかどうか様子を見てみよう」
オランダGPで今年3度目のノーポイントを喫してしまったバレンティーノ・ロッシ(モビスター・ヤマハ)はランキング3位をキープしているが、マルケスからは42ポイント差、ロレンソから18ポイント差に広がってしまった。ザクセンリンクでは2002年、2005年、2006年、2009年と通算4勝を記録しているが、2009年以来、勝利から遠ざかっているが、昨年は3位に入賞している。
「ザクセンリンクでのレースが楽しみだ。アッセンでは週末を通じてよい仕事をした。ドライでもウェットでも速かったけど、ボクたちには運がなかった」
「ザクセンリンクでは、これまでと同様に週末を通じてよい仕事をする必要がある。ボクたちは速い。YZR-M1とミシュランの組み合わせはは快適だ。コースも好きだし、いいレースになるように最善をつくす」
ランキング4位のダニ・ペドロサ(レプソル・ホンダ)はザクセンリンクのMotoGPクラスでは、2007年、2010年、2011年、2012年と通算4勝を記録している。2013年以降、マルケスが3連勝を飾っていることから、ザクセンリンクはホンダのマシンが得意とするコースということが言えるだろう。
「ザクセンリンクが大好きだ。ここではよい思い出があり、ここ数戦で学んだことを最大限に引き出したい。アッセンでベストリザルトを獲得できなかったのは残念だった。レース1の戦略は完ぺきだったけど、要求が厳しい条件の中でよい仕事をしたことはポジティブだ。ドイツでも同じように取り組みたい」
マーベリック・ビニャーレス(スズキ)はランキング5位。MotoGP初年度のドイツGPでは予選12番手から決勝11位でフィニッシュしている。
「アッセンでのレースは、結果はポジティブではなかったが、今後のウエットでのレースに役立つ教訓を学ぶことができた。ザクセンリンクは独特なコースで、昨年はアレイシといいバトルができた。ボクたちは2015年以来、多くの改善を実現してきたし、今年はトップ争いができることを証明しているから、去年以上の競争力があると思う。決して簡単ではないと思うが、不可能ではないと思う」
サテライト勢トップのランキング6位にポル・エスパルガロ(ヤマハ・テック3)。ポル・エスパルガロは前戦オランダGPで今シーズンベストとなる4位でフィニッシュしている。オランダGPの直後には、鈴鹿8耐のテストのために来日、8耐連覇に向けて順調にテストをこなした。
「ザクセンリンクはまるでカートコースを走っているような印象のコースだ。ヤマハのマシンはこのコースに合っていると思う。ボクたちのポテンシャルを証明できるはずだ。準備はできている。鈴鹿8耐の前に、前半戦を締めくくるポジティブなリザルトを獲得できるはずだ」
ポル・エスパルガロに14ポイント差のランキング7位に、エクトル・バルベラ(アビンティアレーシング)が続き、この二人がサテライト勢のランキングを争っている。
アンドレア・イアンノーネ(ドゥカティ)はランキング8位。前戦ではカタルニアGPでのペナルティにより最後尾スタートとなった。
「ここ数年間、ザクセンリンクはボクたちにとっていい結果ではなかったけど、今年はバイクがいいから良い結果を期待している。アッセンで今年は週末を通じて戦闘力があったから、ドイツでもいいレースができることは確かだろう」
2戦連続ノーポイントに終わったアレイシ・エスパルガロ(スズキ)はランキング9位に後退。
「ザクセンリンクのレイアウトは独特で、左コーナーが多く、タイヤに厳しいコースだ。ライダーは賢いタイヤの使い方が要求される。昨年はいいレースができたし、今年はマシンも進化している。いいセッティングをいち早く見つけることが重要だ」
ランキング10位にユージン・ラバティ(アスパー・チーム)が続き、前戦で今年4回目のノーポイントレースを喫してしまったアンドレア・ドビジオーゾ(ドゥカティ)はランキング11位と苦戦している。
「ザクセンリンクは、デスモセディチGPにとって理想的なコースではない。スロットルを開け続ける必要がある左のロングコーナーが多く、ボクたちのバイクは、この部分でまだ完ぺきではない。今年はタイヤが違うから、もしかしたらよくなるかもしれないけど、最初のプラクティスが始まるまでは何とも言えないね」とドビジオーゾ。
難しいレースとなったオランダGPでMotoGP初優勝を飾ったジャック・ミラー(マークVDS)はランキング13位に一気に浮上した。
「アッセンは夢の実現だったけど、ドイツでも戦闘的になれるように集中する必要がある。Moto3では優勝経験があるサーキットだけど、簡単な週末にはならないだろう。ホンダにすごく合ったコースだから、モチベーションは高い」
「ここ4戦でボクたちは大きく進歩した。冬に負傷した足は徐々に回復している。先日、1月に足を骨折して以来、初めてモトクロッサーでトレーニングを行ない。よい感触があった。固定プレートが原因で足の可動域に限界があが、チームと一緒に懸命に働き、アッセンのような感動をもう一度味わいたい」
ケガのためカタルニア、オランダと2戦を欠場していたロリス・バズ(アビンティアレーシング)は今レースから復帰する。
Moto2クラスではヨハン・ザルコ(カレックス)が前戦オランダGPでランキングトップに浮上、ランキング2位に同ポイントでアレックス・リンス(カレックス)が並ぶ。5ポイント差のランキング3位にサム・ロウズ(カレックス)が続く。
前戦オランダでグランプリ初優勝を飾った中上 貴晶(カレックス)はランキング5位に浮上。2勝目をねらって今レースに挑む。
Moto3クラスではブラッド・ビンダー(KTM)がランキングトップをキープ。ランキング2位のホルヘ・ナバーロ(ホンダ)は前戦オランダをケガで欠場し、ビンダーとのポイント差は48ポイントに広がった。ランキング3位にロマーノ・フェナティ(KTM)、ランキング4位に前戦オランダでグランプリ初優勝を飾ったフランチェスコ・バニャーヤ(マヒンドラ)が続く。
カタルニアGPで負傷し、オランダGPを欠場した尾野 弘樹(ホンダ)は今レースから復帰、ランキング20位から上位をめざす。ランキング29位の鈴木 竜生(マヒンドラ)は前戦の転倒で今季初のリタイアを喫したが、インターバル中に右手薬指を手術し、ドイツGPに臨む。