6月30日~7月3日に行われた世界ラリー選手権(WRC)第7戦ポーランドで、オット・タナク(フォード・フィエスタRS WRC)のドライブで優勝目前まで迫ったことが記憶に新しいDMACKタイヤは、2017年シーズンに向けて、ミシュランとの契約が終了するMスポーツとの提携か、自チームのエントリー台数を2台に拡大することを模索している。
WRCでは早ければ17年シーズンにコントロールタイヤが復活する可能性もあると報じられているが、DMACKタイヤのマネージング・ディレクターを務めるディック・コーマックはタイヤ開発の新たなステップを踏み出すことを望んでいるという。
「我々はMスポーツとの契約を狙っている」とコーマック。
「目標は来シーズンからの契約だが、話がまとらなかった場合でも、来年以降に契約できる可能性を探りたい」
「来季ワークスチームへのタイヤ供給が困難な場合、我々のチームを2台体制に増強て、フル参戦したいと思っている」
コーマックは、現在のユーザーであるタナクとイギリス国内選手権(BRC)でDMACKタイヤを使用しているエルフィン・エバンスの起用を強く希望しており、このドライバーラインアップが実現した場合、15年のMスポーツワークスのドライバーラインアップが再現されることとなる。
コーマックは「あのふたりなら非常に強いチームになる」と説明する。
「もちろん、彼らにはほかのチームと交渉する機会もあるだろう。もし彼らを失った場合でも、候補のドライバーはいる。あまり数は多くないがね」
「我々はすぐに競争力を発揮できるドライバーを求めていて、今のサービスパークにタナクより速いドライバーは、ほとんどいない。確かにタナクは安定したリザルトを記録しているとは言えないかもしれない。それでもとにかく速いドライバーなんだ」
「これは2カー体制を考えているひとつの要因だが、もしランキング5位につけている時に、何度かリタイヤすると、すぐにランキングは10位に落ちてしまうだろう。2台体制になれば、そういった事態を起こりにくくできる」
ラリータイヤの生産を中国工場からイギリスに移管したことにより、DMACKの体制はここへきて急速に進化している。
コーマックは、イギリス・カンブリアにあるDMACKの生産工場と、メルクシャムを拠点とするクーパー・タイヤとのジョイント・ベンチャーの管理を担当している。
「我々は今、フィジビリティ・スタディ(実現可能性調査)を行っている。自社でも、ジョイント工場でもあらゆる対応が可能かどうかをね」
「クーパーとの合弁を開始してから3カ月だが、この協業はとても理にかなっている。お互いに競合関係ではないので、相互補完をさらに推し進めていきたい」