ハースのチーム代表であるギュンター・シュタイナーは、F1はコクピット保護デバイスの導入を2018年以降に遅らせるべきだと考えている。
レッドブルのチーム代表、クリスチャン・ホーナーはストラテジーグループの会合を前に「ハロ」の導入に反対すると明言しているが、FIAは安全の確保を理由にコクピット保護デバイスを来シーズンから強行導入する構えを見せている。
しかし、新デバイスの導入に対する関係者の反応は冷ややかだ。シュタイナーは2018年まで導入を延期するのが好ましいと考えている。
「我々全員が、この競技に安全を求めている。それは絶対だ。しかしドライバーたちは、自らの選択によって戦っている。彼らはF1の危険性を理解しており、マシンは現時点でも、かなり安全だ」
「だが、この競技に100%の安全はない。安全か安全ではないかを決めるのはドライバー自身だ。彼らは速く走りたいんだからね」
「マシンにハロを付ければドライバーは『自分は安全だ。好きなようにできるぞ』と考えるだろう。だから導入について賛成とも反対とも言えない。我々は安全を望んでいるが、100%の安全なんてものは存在しないし、ハロが好きな人などいない。それに危険は、このスポーツの一部なんだ」
「多くの人がハロは、まだ準備不足だと言っている。(セバスチャン)ベッテルはハロを装着したときに、あまりよく見えないと言っていたが、それは彼がハロを装着したときの視界が好きになれないからだ」
「もし、もう1年導入を先送りするのであれば、私も賛成する」
レッドブルはシルバーストンで行われたテストの初日、育成ドライバーのピエール・ガスリーがハロを装着したマシンでアウトラップを走った。ガスリーはカメラが付いたメガネ型デバイスを装着して、ハロ装着時のコクピットからの視界を記録している。
これについて、シュタイナーは「カメラを装着することで、ハロ装着時の見え方や、視界の遮られ方が確認できると思う。ハロがまだ準備不足であることを示すために、こういった技術を用いている。結果はわからないが、レッドブルがそういったテストを行うのは良いことだし、全チームにハロの現状が示されると信じている」
ガスリーはハロの視認性には大きな懸念を示さなかったが、やはり違和感があると言う。
「視認性については、そんなに変わらなかったよ。でも、ヘルメットの前に何かがあるのは変な感じがしたね。そのすぐ上に巨大な三角形があるのも、なんだか違和感があったよ。慣れていくと思うし、これがあっても確実にドライブはできる」
「でも、自分にとってF1は常にオープンコクピットであるものだった。確かにハロがないことで危険性は増すけど、ドライバーは長い間それを承知していた。レーシングカーに乗るドライバーは全員その危険性を理解したうえで受け入れてきた。そういう面では何かを変えるべきではないと思うんだ」