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松井珠理奈と川栄李奈、女優としては正反対? 『死幣』共演でそれぞれの実力発揮なるか

2016年07月13日 06:11  リアルサウンド

リアルサウンド

『死幣-DEATH CASH-』公式サイト

 SKE48の松井珠理奈の連続ドラマ初主演作『死幣-DEATH CASH-』(TBS系)が、本日深夜24時10分より放送される。松井演じる大学生・南由夏が、使うと死を招くと噂される“呪われた1万円札=死幣”を巡って、不可解な事件に巻き込まれていく本格ホラーサスペンスだ。AKB48出身の女優として現在躍進中の川栄李奈と、同級生役で共演することも話題を呼んでいる。


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 これまで、AKBグループのメンバーが出演する『マジすか学園』シリーズなどでも存在感を発揮してきた松井が、本格的に連ドラ主演を務めることについて、ドラマ評論家の成馬零一氏に話を聞いた。


「松井珠理奈は10代半ばの時点からすでにビジュアルが完成していて、視聴者に強いインパクトを残すタイプなのですが、その分、積極的に感情表現をして物語を引っ張っていく演技はこれまであまり見られませんでした。2010年から出演している『マジすか学園』シリーズではセンター役で、“謎の美少女”のような立ち位置でしたし、前クールのドラマ『私 結婚できないんじゃなくて、しないんです』(TBS系)では、回想シーンの中で主人公・橘みやびの高校時代を演じていました。具体的な演技よりも存在感で主張するというか、立っているだけで絵になるタイプなんです。本質的に、モデルとかアイドルに向いているのではないでしょうか。ただ、バラエティ番組などでは愛嬌も見せていますし、なによりSKE48を引っ張ってきた方なので、ドラマにおいてもまだまだ引き出しがあると見ています。今回のドラマは本格的なホラーサスペンスとのことなので、いわゆる“受けの演技”をしたときにどんなリアクションを見せてくれるのかが非常に楽しみです。もしかしたら、彼女のキャリアにとって転機となる作品かもしれませんね」


 一方で、川栄との共演も見どころのひとつだと、成馬氏は続ける。


「女優として見たとき、松井とは正反対なのが川栄です。彼女は感情表現が上手くて、脇に回っても存在感を発揮できるタイプの演技派なので、うまく物語をかき回してくれるのでは。彼女はAKB48時代に“おバカキャラ”として親しまれていて、2014年に『ごめんね青春!』に出演した際は、周囲の出演者が実力派揃いだったこともあり、あまり目立つタイプではなかったと記憶しています。しかし、その後は舞台での演技を経験したこともあってか、良い意味でイメージをリセットすることができた。アイドル出身だとそのイメージに捉われてしまい、役柄の幅を狭めてしまったりもするのですが、川栄にはそれがなく、ごく普通の女の子を演じるのも上手です。これは女優としては大きな強みで、希少な才能だと感じています。今回のドラマは脇が充実していて、清原果耶や中村ゆりか、吉岡里帆といった注目の若手女優も出演しています。彼女たちとともに、松井のポテンシャルをどう引き出していくかにも期待したいところです」


 また、今回のような座組みが実現したのは、AKBグループにとってもひとつの成果であるという。


「AKBグループのメンバーは『マジすか学園』シリーズから女優としてのキャリアをスタートしているケースが多いですが、舞台が不良ばかりの高校ということもあって、アイドル的なかわいらしさよりも、暴力性と荒々しい感情をむき出しにした演技を要求されることが多かったと思います。もちろんほとんどのメンバーが素人なので「学芸会の延長」とドラマ内のテロップでは語られましたが、だからこそ生々しい存在感を見せていて、そこで演技のコツを掴んだメンバーも多かったのではないかと思います。アイドル出身の女優は、ファンへの配慮から、振り切れた役を演じることはなかなか難しいのですが、彼女たちは最初からなりふり構わずやってきたのが女優としての強みにつながっています。グループにおける過酷な経験も、喜怒哀楽の表現に深みを与える要因となっているのでしょう。前田敦子などは女優としても評価を高めつつありますが、その背景にはグループの中で培ってきた経験があるはずです。AKBグループ出身の女優たちは今後、それぞれの個性をおたがいに活かしつつ、さらに活躍の場を広げていくのでは」


 『死幣-DEATH CASH-』は、AKB48ファンのみならず、広くアイドルファンにとっても興味深い内容となりそうだ。(リアルサウンド映画部)