「不採用と言われたけど、どうしてもこの会社で働きたい…」
会社からの通知を受け取った就活生の中には、このように思い悩む人もいます。その会社に再応募すること自体は自由ですが、果たして合格できる可能性はあるのでしょうか。
選考には運の要素もあるので、逆転の可能性が全くないとはいえません。熱意を買って歓迎してくれる会社もあるかもしれません。それでも採用担当者としては「見切りをつけて、他の会社を探したほうがいいよ」と言いたいのがホンネです。(文:河合浩司)
「逆転採用」でメンツを潰される社員が出るかも
まず一般的な企業では、再度選考に臨んでも通過する確率は極めて低いと考えた方がいいと思います。応募者をじっくり吟味し、しっかりした基準で選考しているきちんと会社であればなおさらです。
そんな小さな可能性に労力を割くくらいなら、他の企業を探した方が効率は良いのです。特に今年は「売り手市場」で、企業が採用人数を確保できずに困っている状況ですから、たまたま落ちた1社にこだわる必要はありません。
再度応募してきた人が採用されにくいのは、会社側の都合もあります。たとえば三次面接で不合格とした人にもう一度チャンスをあげて、最終的に社長面接で合格にした場合、三次面接の担当者は「お前は人を見る目がなかった」とメンツを潰されることになります。
こうなると上司と部下の間に、何らかの禍根を残すことになりかねません。しかも「一度は不採用の判断を受けた人材だ」というスタートで、社内でそのように扱われてしまえば、その人が定着に至るかどうかは、非常に心許ないものとなります。
ある会社では、現場が一度は不採用と判断した就活生を、社長が強引に採用したことがありました。社長が言うには「変わった感覚の持ち主こそが会社の変革には必要」とのことでしたが、現場の感覚からすると変に頑固で扱いにくいという印象だったようです。
「一時的な錯覚」と割り切った方がいい
現場の判断で一度は「この人材は受け入れられない」としたのにもかかわらず、採用して押しつけられた形になれば、感情的な反発も起こります。結局、現場で育てる人がおらず、新入社員はすぐに辞めていってしまったのだそうです。
会社の最高責任者は社長なのですから、採用した社員を育てるのは現場の義務でしょう。また「どうしてもこの会社に入りたい」と希望したのであれば、新入社員にもそれ相応の粘りが必要だったかもしれません。
しかし採用はあくまで出発点でしかなく、入社後が本番。採用の合否を覆してまで入社を果たしたところで、お互いにあまり良いことにはなりにくいものです。
就活生としては、「なんとしてもこの会社に入社したい!」という強い思いのはけ口に困ることでしょうが、往々にしてそれは社会経験の乏しい学生の「一時的な錯覚」だと考えてください。
就活生はまだ会社や社会のことをよく知らないで、熱に浮かされているのです。一人のことしか見えてない「恋は盲目」のような状態です。一度冷静になって、周りを見渡してみてください。あなたには、その会社でなければ実現できない可能性などないはずです。
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