世界ラリー選手権(WRC)は2017年シーズンから、ふたたびコントロールタイヤ導入へ踏み切る可能性がある。
ピレリと3年間に及ぶコントロールタイヤ供給契約が終了した2011年から、FIAはチームに対してタイヤ選択の自由を認めてきた。
その後、最上位クラスに参戦するすべてのワークスチームにはミシュランが、プライベーターチームにはピレリとDMACKの2メーカーがタイヤを供給。DMACKユーザーのひとり、オット・タナク(フォード・フィエスタRS WRC)は先週行われたWRC第7戦ポーランドで、ミシュランを上回るペースをみせている。
WRCプロモーターのオリビエ・シエスラは、来月にはワンメイクタイヤを導入するか決定すると述べている。
「これは数ヶ月前から話し合ってきたことだ」とシエスラ。
「賛否両論があるのはわかっている。しかし、この件は議題に上っており、近日中、おそらく1カ月以内には決定が下されるだろう」
フォルクスワーゲン・モータースポーツ代表のヨースト・カピートは、WRCにはタイヤ選択の自由が残されるべきだと主張。「コントロールタイヤ導入は完全に間違っている」とコメントした。
「現在のWRCにはピレリ、ミシュラン、それにDMACKの3メーカーがいる。そして、これら3メーカーが参戦していることで、いい形の競争が生まれているんだ」
「それぞれのタイヤには大会ごとに得手不得手があり、これによってリザルトに多様性が生まれている。だから、今の状態がもっとも望ましいんだよ」
Mスポーツの顧客担当であるリック・ミレナーは、WRCにコントロールタイヤが導入されることで、タイヤサプライヤーはその宣伝効果の高さに興味を持つかもしれないと述べた。
以前に独占供給を行っていたピレリは、タイヤ供給への努力や、タナクやヘイデン・パッドン(ヒュンダイi20 WRC)を輩出した『ピレリ・スタードライバー・プログラム』といった取り組みが賞賛された。
ミレナーは「コントロールタイヤにはプラスの側面もマイナスの側面もある」と語っている。
「ラリー・ポーランドでのドラマはタイヤ競争がなかったら実現しなかっただろう。DMACKはWRCに非常に力を注いでいる。それはサービスパークを見ても明らかだ。ワンメイクになると、こういった展開は起こらなくなってしまうがね」
「一方で、ほかの選手権を見ても分かるように、(コントロールタイヤ導入で)我々は投資を集中させることができ、これは選手権の成長に繋がるんだ」
「ただ、ラリー・ポーランドのような大会を見てしまうと、個人的にはタイヤはオープンな状態であるべきだと思う」