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闇社会、飯テロ、若手女優の躍進……夏の深夜ドラマの注目作を一挙紹介

2016年07月10日 10:21  リアルサウンド

リアルサウンド

夏ドラマ

 夏のドラマを総チェック! 「20~22時台」から始まるドラマをひと通り眺めた前編「松嶋菜々子、北川景子、波瑠……夏ドラマの主役は女性たち プライムタイムの注目作を一挙紹介」に続く後編では、各局さまざまな試みにトライしている「深夜ドラマ」を見ていくことにしましょう。「20~22時台」のドラマのキーワードが「オリジナル作」と「女性主人公」であったのに対して、今季の「深夜ドラマ」のキーワードを挙げるとするならば、「闇社会」と「女の子たち」でしょうか。女性がメインを飾るのは、「深夜ドラマ」も同様。これは、この夏の全体的なトレンドと言っても過言ではないでしょう。無論、「深夜ドラマ」の場合、そこに「闇」の要素が入ってくるものも多いのですが……まずは、「闇社会」を舞台としたドラマから。


■「闇社会」でうごめく人々


 この夏の「深夜ドラマ」最大の注目作は、やはり「MBS・TBSドラマイズム」枠で放送される『闇金ウシジマくん Season3』(7月19日(火)25時28分~/TBSほか)でしょう。山田孝之の「当たり役」である「ウシジマくん」が、2年半ぶりに連続ドラマとして帰ってきます。超暴利な闇金融「カウカウファイナンス」を営む主人公・丑嶋馨と、彼のもとを訪れる救いない人々の人間模様を描いた社会派ハードコア作品として知られる真鍋昌平の人気漫画『闇金ウシジマくん』。それをドラマ化した作品として、2010年秋にスタートして以来、2012年には劇場映画の「Part1」が、2014年には連続ドラマの「Season2」が、そして同年には劇場映画の「Part2」が公開されるなど、名実ともに人気シリーズである本作。企画・プロデュースも手掛ける山口雅俊監督のもと、主演の山田孝之をはじめ、やべきょうすけ、崎本大海など「カウカウファイナンス」の面々はもちろん、「Season2」から登場した丑嶋の盟友である情報屋役を演じる綾野剛、さらには映画「Part2」で登場した丑嶋のライバルである同業者を演じる高橋メアリージュンと、その部下役のマキタスポーツが再集結して「Season3」に臨みます。


  今シーズンのメインとして描き出されるのは、「原作史上最も危険!」との呼び声も高い「洗脳くん」編。謎の男(中村倫也)のマインドコントロールによって、次第に破滅してゆくOL役を、映画『ピース オブ ケイク』への出演など、近年女優としての評価を高めている光宗薫が、文字通り体当たりで演じることも話題の一本です。さらに、本シリーズの終了後には、同スタッフ&同キャストによる劇場版『闇金ウシジマくん Part3』と、シリーズ完結編にあたる『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』が連続公開されることも決定済み。約6年にわたるウシジマ=山田の物語は、どんなクライマックスを迎えるのでしょうか。それを占う意味でも見逃せない一本となりそうです。


 日本テレビの「プラチナイト」枠で、ひと足早くスタートした、三上博史主演の『遺産相続弁護士 柿崎真一』(毎週木曜23時59分~/日本テレビ系)も、何やら「闇社会」の匂いがします。そのタイトル通り、三上演じる遺産相続を専門とする弁護士・柿崎を主人公とする本作。しかし、その周囲にいるのは、柿崎の部下でありながら、金のためなら平気でボスを裏切る新米弁護士(森川葵)、金持ちの患者ばかりを相手にしながら、その情報を柿崎に流す女性歯科医(酒井若菜)、そして柿崎から巨額の借金を取り立てる闇金会社社長(豊原功補)など、怪しげな人物ばかり。初回のゲストとして、派手なメイクと衣装に身を包んだ奥菜恵がクラブのママ役で登場するなど、毎回登場するであろうひと癖もふた癖もあるゲストも楽しみな一本となっています。


■深夜の「飯テロ」ドラマ


 そして、「闇社会」の王道と言えば「ヤクザ」。『孤独のグルメ』シリーズによって、深夜の「飯テロ」ドラマを確立したテレビ東京は、生瀬勝久を主演とする「任侠×グルメ」ドラマ『侠飯~おとこめし~』(7月15日(金)24時12分~/テレビ東京ほか)で、新路線を開拓します。福澤徹三の小説のドラマ化となる本作。ヤクザの抗争に巻き込まれた就活中の大学生(柄本時生)は、なぜか自宅アパートにヤクザの組長(生瀬)を匿うことになるものの、その組長は自ら厨房に立ち、料理に腕を振るう「グルメ組長」だった……という破天荒な物語。その演出陣に、映画『木屋町DARUMA』などで知られる監督/俳優の榊英雄が名を連ねるなど、グルメ・シーンはもちろん、アクション・シーンにも期待が持てる作品となりそうです。


 「飯テロ」ドラマと言えば、『信長のシェフ』などで知られる西村ミツル原作のコミックを剛力彩芽主演でドラマ化する『グ・ラ・メ!~総理の料理番~』(7月22日(金)23時15分~/テレビ朝日系)も、かなり食欲を誘うドラマとなりそうです。吉田茂政権以来、70年ぶりに誕生した「総理の料理番」に抜擢された25歳の天才女性シェフ(剛力)が、その料理によって政府の要人たちの心を掴んでいくという物語。総理役の小日向文世をはじめ、総理の腹心役の滝藤賢一、そして剛力と敵対するライバル料理人を、『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』、『僕のヤバイ妻』など、近年クセのある役どころで、他に変え難い存在感を打ち放っている高橋一生が演じていることも注目の一本です。


■フレッシュな女の子たちの躍進


 一方、前クール、前田敦子主演の『毒島ゆり子のせきらら日記』で、「大物政治家の番記者」の奔放な恋愛事情を描いたTBS「テッペン!水ドラ!!」枠では、「闇」は「闇」でも、本物の「闇」……「呪われた一万円札」を手にした人々が次々と不可解な死を遂げるという本格ホラーサスペンス『死幣-DEATH CASH-』(7月13日(水)24時10分~/TBSほか)がスタート。前クールの『私 結婚できないんじゃなくて、しないんです』で主人公の高校時代を演じたSKE48の松井珠理奈が、連続ドラマ初主演にして、他人の死が見える特殊能力を持った女子大生を演じます。その彼女とタッグを組む刑事役の戸次重幸、松井が所属するゼミの教授役の筧利夫といった実力派はもちろん、松井の妹役の清原果耶、松井と同じゼミに所属する女子大生役の川栄李奈、吉岡里帆など、フレッシュな若手女優たちが続々出演。果たして彼女たちは、最後まで生き残れるのでしょうか。これからの季節に相応しい、身の毛もよだつ作品となりそうです。


 さらに、テレビ東京「土曜ドラマ24」枠では、昨年発足して以来、人気急上昇中のアイドルグループ、欅坂46を総出演&初主演する群像劇『徳山大五郎を誰が殺したか?』(7月16日(土)24時20分~/テレビ東京系)がスタート。企画・原案=秋元康で送る本作が、ほとんど演技初挑戦となる欅坂46の女の子たちですが、事前の入念なワークショップのもと、さらには個々のキャラクターによって、物語そのものが流動的に変わっていったという、まさしく「深夜の実験場」とも言えるこのドラマ。全編を通じて教室の中だけで物語が展開するその内容は、ある日教室で担任の死体が発見されるという、とてもシュールなものとなっています。いきなり死体で登場する「徳山大五郎」役の嶋田久作をはじめ、岩松了、江口のりこ、今野浩喜など、やたらと濃い共演者たちはもちろん、かつてAKB48が主演したドラマ『マジすか学園』や映画『ヒーローマニア‐生活-』、『森山中教習所』などを手掛ける豊島圭介がチーフ監督を務めることも注目の一本です。


■注目の若手女優、永野芽郁の初主演ドラマ!


 10代の女の子の躍進と言えば、7月8日からスタートした『こえ恋』(毎週金曜24時52分~/テレビ東京ほか)も見逃せない一本となっています。映画『俺物語!!』のヒロイン役で多くの男性たちを虜にし、現在は「カルピスウォーター」の13代目CMキャラクターとして瑞々しい魅力を振りまいている人気上昇中のモデル/女優、永野芽郁16歳の初主演作となる本作。なぜか紙袋をかぶって生活しているクラス委員「松原くん」の素敵な声とやさしさに惹かれていく女子高生を描いたWEBコミックが原作ということで、当初はどうなることかと思った本作ですが、既にオンエアされた初回を観た限り、これは「アリ」と言わざるを得ないでしょう。実写で描かれる「松原くん」はシュールそのものですが、そんな彼に惹かれていく長野芽郁の魅力は、本当にヤバいです。というか、彼女が恋する「松原くん」の顔が見えない分、余計な嫉妬心を持つことなく、彼女の魅力を堪能できるのです。や、何はともあれ、個人的には、一見してみることを強くオススメします。


 深夜に躍進するのは、10代の女の子ばかりではありません。同名コミックを原作とする『ラブラブエイリアン』(7月13日(水)25時55分~/フジテレビ)は、女子の「ヤバすぎる」本音トークが満載のガールズトーク・シチュエーション・コメディです。本作で連続ドラマ初主演となる新木優子をはじめ、森絵梨佳、太田莉菜、久松郁実など綺麗どころが、「働く女性たち」の恋にまつわる赤裸々トークを繰り広げるとのこと。その監督・脚本を担当するのが、岩田剛典と高畑充希がW主演し、大ヒットを記録した映画『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』の三木康一郎監督であることも、何気に注目ポイントのひとつとなっています。などなど、すべてをチェックし終えた時点でも、やはり「女性優位」と言わざるを得ない、この夏ドラマ事情。まあ、せっかくなので、夏の夜に部屋でビールでも飲みながら、ひとつお気に入りの女子を探してみるのも一興かもしれませんね。(麦倉正樹)