カルロス・サインツJr.は、ホンダのF1パワーユニットが着実に進歩しており、いまやトロロッソが使用する1年落ちのフェラーリ製ユニットに近づいてきたと考えている。
今週末のイギリスGPに向けて、ホンダは他のマニュファクチャラーとのギャップを縮めるべく、開発トークン「2」を使ってきた。初日のフリー走行2回目では、マクラーレン・ホンダのフェルナンド・アロンソ6位、ジェンソン・バトン9位だったのに対して、サインツJr.とチームメイトのダニール・クビアトは11位と13位にとどまった。
初日を終えた時点で、旧型フェラーリ製ユニットと比較して、ホンダはどのくらい進歩したと思うかとの質問に、サインツJr.は「まだ対等ではないが、かなり近づいてきている」と答えた。
「マクラーレンは、いつも金曜のペースがすごく良い。僕らも予選では、もう少し彼らに迫りたいね。マクラーレンは空力が優れているから、ホンダと僕らのフェラーリとのパワー差をタイムから推測するのは難しい。ただ、彼らが進歩しているのは間違いない。どのくらい大きな進歩かはわからないが、確実に進歩はしている」
「彼らは毎回、着実に改善を続けている。いまのところ僕らは、それができていないので追い越されないように警戒が必要だと思う」
今回のホンダのアップデートは、内燃エンジンの効率とパワーを上げることを狙ったものだ。ただ、少なくとも出力面では劇的な変化はないものと考えられている。アップグレードによって、どのくらい変わったかとの質問を受けて、バトンは次のように答えた。
「50kW(約68馬力)も違うってことはないと思うよ。それに走るサーキットが変わると、感覚的には違いがわからないものなんだ。ここ(シルバーストン)はオーストリアとは全然違うタイプのコースで、今日(金曜日)は風もすごく強いから、アップデートによる差は感じられないだろう。データでは何らかの違いが見られるといいんだけど」
バトンはパワーユニットのトラブルのため、初日午後のプラクティスで走行時間の多くを失ったが、アロンソのパフォーマンスに勇気づけられたという。
「トラブルではないんだけど、コンピュータのデータに異常があり、先々のことも考えてチェックしたんだ。このセッションはあまり走れず、セットアップの作業について何もできなかったのが残念だ」
「だけど、もう1台(アロンソ)のクルマには競争力がありそうだから、そちらのデータと情報を使わせてもらうつもりだ。土曜の午前中はクリーンに走って、もう少し周回を重ねたいと思っている」
アロンソは初日の時点で、こう語っていた。
「これまでにも金曜日に良いパフォーマンスを示せたことは、たびたびあった。だが土曜日にクルマの能力を最大限に引き出すために、まだやるべきことがある。チャンスがめぐってきたときに備えて準備し、それを逃さないようにしっかり集中して、できることならQ3へ進みたい」
その言葉どおり、アロンソは予選トップ10入りを達成。バトンはQ1でウイングのトラブルに見舞われて最後のアタックに出られず、地元でQ1落ちを喫する結果となってしまった。トロロッソとの予選対決では、サインツJr.が8位、アロンソ10位、クビアト15位、バトン17位。この序列が決勝では、どのように入れ替わるだろうか。