2017年シーズンの序盤戦では、チームはレースごとのタイヤコンパウンドの割り当てを選べないかもしれない。ピレリの新型タイヤの生産が間に合わない可能性があるからだ。
今年から変更されたタイヤ供給のルールにより、チームは各レースで使用できる3種類のコンパウンドの中から、合計13セットを上限として、各ドライバーにどのコンパウンドを何セットを用意するかを決めることができる。
そして、ピレリはグランプリの2週間前に、各ドライバーが選んだコンパウンドの配分を発表することになっている。だが、タイヤサイズの規定変更もあって、来季序盤戦ではこの手順を守るのが難しくなりそうなのだ。
来年のタイヤはフロントが245mmから306mmへと60mm幅が広がり、同様にリアは325mmから405mmへと80mmワイドになる。このような抜本的な変更に対応するには、11月末のアブダビでの最終戦終了後まで、今年中に相当な回数のテストを行う必要があり、新型タイヤの本格的な生産が始まるのは12月上旬からになるという。
このため、ピレリは来季開幕直後のフライアウェイレースについては、必要とされる各コンパウンドの数量を早めに確定したいと考えており、結果として個々のドライバーの選択に応じることができない可能性もあるというのだ。
ピレリのレーシングマネージャー、マリオ・イゾラは次のように述べた。
「私の意見では、現在のレギュレーションはうまく機能しており、変えるべき理由はない。ただ、少なくともシーズン初めの3~4戦に関しては、妥協的な解決策が必要になりそうだ」
「FIAが、シーズン序盤戦では割り当てを固定すると決めてくれれば、ピレリは早い段階で生産を始めることができる。チームによる選択を待たずに、先行してタイヤを作っておけるからだ。現時点では、割り当ての固定はひとつの案にすぎないが、合理的な解決策ではあると思う」
だが、そうしたアプローチにはチームによる全会一致の賛成が必要であり、特にタイヤ選択が難しいシーズン序盤の戦いにおいて、一部のチームがアドバンテージを得る可能性もあることは、イゾラも認識しているようだ。
「これはピレリではなく、FIAが判断することだ。もちろん、私たちも話し合いには参加する。この案が手続き上、実現可能かどうかを確認する必要があるからだ」
「今後、FIAやチームと話し合いを持つことになるのは間違いないし、対話を通じて良い解決方法を見つけられると思っている。実際、すでに下話的な相談は始めていて、来季の開幕に向けて、さらに深く検討する必要があるということで意見が一致している」