イギリスGPのFIA金曜チーム代表会見は、まさに主要チームが勢ぞろいする豪華な顔ぶれとなりました。とくにイギリスから出国できない状況に追い込まれているフォース・インディアのビジェイ・マリヤは久々の登場です。
まずは司会者から定番のイギリスEU離脱問題に関する質問が投げかけられ、どのチームも基本的にはノーコメントで「短期的には大きな影響はない」という姿勢。クレア・ウイリアムズ副代表は「うちはメルセデスさんにエンジン代金をユーロで支払っているから、2018年に向けて400万ユーロ安くなっても帳消しね」と隣のトト・ウォルフにチクリ。どのチームもイギリスとヨーロッパ各国で移り住んで働いているスタッフもいるため、就労ビザの問題は少し気になる様子でした。
続いてフロアからは、やはりマリヤの置かれた状況についての質問が相次ぎましたが、「これはFIA会見であって私の渡航許可が云々ということを話す場ではないが、法的手続きが進めば、いずれ答えは出る。それまではウイリアムズに追いつくべくフォース・インディアのパフォーマンスを向上させることが私の仕事だ」と返答。
そして最も印象的だったのは、この日発表されたばかりのフェラーリとキミ・ライコネンの契約について聞かれたマウリツィオ・アリバベーネ代表の言葉です。
例年イタリアGP前後に契約発表をするフェラーリとしては異例の7月発表でしたが、ライコネンに与えるプレッシャーや彼に対する評価によって決めたと説明。さらには次の質問に移りかけていたのを遮ってまで「これは付け加えさせてくれ」と続けた言葉が感動的でした。
「この3~4戦、キミには何度も何度も契約がどうなっているのかという質問が飛んでいた。私は記者の皆さんに、フェラーリのワールドチャンピオンである彼に対して、もう少し敬意を払ってもらいたいと何度もお願いしてきた。彼のニックネームはアイスマンだが、彼だって人間だ。F1マシンだって走らせているのはコンピュータではなく、人間が運転しているんだ。アイスマンにだって感情はある。彼だってプレッシャーは感じる。みなさんには自分たちが論じていることに、もう少し意識を持ってもらいたい。以上だ」
アリバベーネ代表は冷徹なビジネスマンのように思われるかもしれませんが、実は人間味あふれるところが魅力なのです。彼の力説を聞いて、ライコネンはフェラーリに留まってよかったと心から感動したことでしょう。これがコース上での結果につながることを願うばかりです。
イギリスGPなのにフェラーリのチーム愛に、しんみりとしてしまった金曜記者会見でした。