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“新・胸キュンソング王”ナオト・インティライミ 『Overflows~言葉にできなくて~』配信が好調な理由

2016年07月09日 15:01  リアルサウンド

リアルサウンド

ナオト・インティライミ

 ナオト・インティライミが7月6日、ニューシングル『Overflows~言葉にできなくて~』をリリースした。4日より開始された先行配信では、初日に配信9サイトで1位となり、レコチョク「シングル」「着うた®」「呼出音」の3部門を始め、各サイト計18部門で1位を獲得。リリースを待望していたリスナーがこぞってDLし、その勢いは衰える様子が見えない状況だ。また、この『Overflows~言葉にできなくて』の好状況が影響して、前作シングル『Together』とベストアルバム『THE BEST!』も配信チャートで再浮上している。


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 「Overflows」というタイトルに象徴されるように、この曲は<こぼれ落ちた涙>と<溢れた想い>が大きなモチーフとなっており、鍵盤とストリングスの響きが切なさを強調する王道のラブソングだ。リスナーの気持ちを明るく照らす“お祭り男”のイメージが強いナオトとしては新境地とも言える曲だが、一方で、制作の経緯を知り、その歌声に耳を傾けると、なんとナオトらしい曲なのだろう、と思ってしまう。


 すでによく知られているように、この曲はフジテレビ系バラエティ番組『痛快TVスカッとジャパン』内の人気コーナー「胸キュンスカッと」にインスパイアを受けたナオトが、“うっかり勝手に制作し、うっかり番組に送り、うっかりテーマソングに起用された”という経緯がある。


 ある意味ではメタ的な視点で作られた曲であり、遊び心にあふれた企画とも言えるのだが、それが月9ドラマの主題歌に起用されても何の違和感もない楽曲に仕上がっているのが痛快だ。映画でもドラマでもなく、バラエティ番組のワンコーナーに本気で熱中し、“うっかり”名曲を作ってしまうのが、なんともナオトらしい。


 またシングルには、同曲の「弾き語りver.」が収録されており、その歌声の魅力を再認識させられる。人に何かを求めるより、ただ一途に<君に伝えたくて 届けたくて>と歌う「Overflows~言葉にできなくて~」の歌詞は、それだけを読むと胸が締め付けられるような切なさが際立つ。しかし、大らかで前向きな響きを持つナオトの歌声を聴けば、リスナーは温かい気持ちで満たされるのだ。楽曲のテイストは変われど、その歌声にはブレがない。


 6月20日にYouTubeで公開された“胸キュン”なMVは、「毎回毎回この曲と胸キュン作品がマッチし過ぎてて嘔吐しそうなくらいキュンキュンしてる」「やっぱり名曲男のナオト‼」など、番組とのマッチングや楽曲のよさを語り合うリスナーのコメントで溢れている。企画性、ソングライティング、歌声とさまざまな面で、ナオト・インティライミというアーティストの懐の深さを感じさせられる一曲だった。(橋川良寛)