参議院選挙の投開票が7月10日に迫っている。今回は、18歳が投票できる初めての選挙ということで、いつにも増して注目が集まっているのは周知のとおりだ。
選挙戦もラストスパートに入り、日々、各候補が街頭演説に立ったり、選挙カーから投票を呼びかけているが、選挙には行くとしても正直、うっとおしく感じる人もいるだろう。だが、それよりも厄介なのは職場で選挙活動する同僚ではないだろうか。
「職場での選挙おしがすごくうるさい」「鬱陶しいわ」
ツイッターには、職場での選挙運動を報告するツイートが寄せられている。あるユーザーは、投票依頼をしたところ、友人からは快諾されたため、「あとは職場の友人達だな。がんばるぞ」とつぶやいていた。他に、
「早く寝ないと…明日仕事だ……職場の人に選挙行ってねと言おう。どういう言い方したら協力してくれるか考えないと。なるべくたくさん声かけないと」
といった投稿もある。かなり気合いが入っている様子だ。
ただ、同じ職場で働く人からすれば複雑だろう。候補者からの呼びかけであればスルーしても問題ないが、同僚からの呼びかけとあれば、何かしら反応しないとその後の人間関係に問題が生じてしまいそうだ。そういった煩わしさから、「職場で選挙活動しないで下さい」と嫌悪感を示す投稿が相次いでいる。
「ほんとなんで職場で選挙の投票しに行く日聞かれないけんの? しかもどこに投票しに行くかも聞かれないけんの? 鬱陶しいわ。しかもしつこいし こんなんやられたら行きたくなくなるわ」
「職場について選挙の話されて◯◯に絶対投票してって言われたんだが やだっていうと態度変えるの良くないよこいつら」
「職場での選挙おしがすごくうるさい 僕は行っても白紙で出します」
職場の上司が「選挙ではここに入れてくださいね」って電話してくる
また、上司から特定の政党や候補者に入れるように言われているという人も。
「選挙に興味はないが、会社の上司に期日前投票行くの?と聞かれた! ○○党押しの会社、分かってるよな的な圧をかけられた…」
「職場の上司さん、いい人なんだけど選挙ではここに入れてくださいねってわざわざ電話で連絡してくるのどうかと思う」
同僚ならまだしも、上司や会社の意向とあれば、プレッシャーを感じる。そのため、「この人に投票してねって上司が強制するのはパワハラだと思うんですが皆さんどう思いますか?」と疑問を投げかける人もいた。
こういった職場での選挙活動は法律的に問題ないのだろうか。労働問題に詳しいアディーレ法律事務所の岩沙好幸弁護士(東京弁護士会所属)に話を聞いた。
岩沙弁護士「上司が部下に投票を依頼するのは避けた方がいい」
岩沙弁護士によると、就業規則で禁止されていなければ職場の人に投票を呼びかけること自体は可能だという。ただ、あくまで休憩時間に行うことが前提だとし、「勤務時間中は認められません」と語る。
では、上司が部下に投票を呼びかけることは可能なのだろうか。これについては、「投票を依頼するという行為自体には問題ないとする一方で、
「もっとも、個人には投票の自由が認められており、誰に投票するかは自分で決めることができます。したがって、投票依頼を越えた投票の強制になると違法になります。上司が部下に投票依頼をすること自体、強制の要素が強まってしまうので避けた方がよいでしょう」
と注意するよう促した。また、投票依頼をするような上司であれば、選挙後にも「どの政党・候補者に入れたか」聞いてきそうだが、これについては、「憲法が秘密選挙について定めています」と指摘。
「回答者が任意で答えるのであれば問題ありません。しかし、会社が従業員に対してどの候補者に入れたかを選挙後に聞くことは、組織構造上、強制の要素が出てきてしまうため違法になる余地があるでしょう」
と話した。職場での選挙活動は依頼される側も迷惑だ。相手が強制だと感じた場合は違法になる可能性もあるため、行わないのが無難だろう。
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