2016年07月07日 10:41 弁護士ドットコム
夫の手取り給与が月に15万円しかないため、姑から夫に黙って経済的援助を受けているーー。専業主婦の女性から、税理士ドットコムの税務相談コーナーにそんな相談が寄せられた。
【関連記事:47歳男性。妻と「10年間セックスレス」で気が狂いそう――望めば「離婚」できる?】
相談者によると、夫は収入が少なく、子どもがいるにもかかわらず、お金があるとすぐに使ってしまうそうだ。そこで、姑から相談者の口座にこっそり月20~25万円を援助してもらい、生活費に充てている。
相談者は自分が働きたいと考えているものの、子供が小さいため、3歳になるまでは姑の援助を受ける予定だと言う。税金がかかるのかどうかが心配事だそうだが、姑から受けた金銭的援助には贈与税などがかかるのだろうか。松永容明税理士に聞いた。
まずは所得税について考えてみましょう。
所得税は、原則として全ての所得に対してかかりますが、所得税法では、所得税のかからない「非課税所得」についても定めています。そこでは、「相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの」は非課税であると明記されています。つまり、今回のケースのように、姑、個人から金銭的援助を受けたとしても、受贈者に所得税はかからないということですね。
次に、本題の贈与税について確認しましょう。
「非課税財産」に該当するのであれば、贈与税はかかりません。相続税法では、「非課税財産」について、「扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの」であると規定し、贈与税は課さないとしています。なお、ここで言う扶養義務者とは、おおざっぱに配偶者、直系血族、兄弟姉妹の他、裁判所が認めた三親等内の親族を指します。
今回のケースでは、相談者と姑の間に血縁関係はありませんが、子どもは姑の直系血族(孫)です。ですから、子どもの扶養義務者である相談者が、生活費のために、同じく子どもの扶養義務者である姑から受けた金銭的援助は、非課税財産に該当し、贈与税はかからないと考えられるでしょう。
ただし、あくまでも事実認定の話ですので、金額の多い、少ないによっては、生活費や教育費の範疇を超えるものとして、贈与税が課税される可能性がゼロではないことに、注意しましょう。
【取材協力税理士】
松永 容明(まつなが・ひろあき)税理士
国税局、ビック4系税理士事務所、USB Trust 銀行などを経て、神奈川県大和市で独立。国税当局在職中から、国際課税、国際相続、移転価格などに選択と集中を行う。現在、中小企業の海外進出アドバイス、資産税の節税スキーム等で人気が高い。
事務所名 : 松永ひろあき税理士事務所
事務所URL:http://www.bantoh.jp/
(弁護士ドットコムニュース)