2016年07月06日 18:22 弁護士ドットコム
日弁連は7月6日、14年前に起きた「豊川事件」で懲役17年の有罪判決を受け、現在大分刑務所に服役中の男性(49)の冤罪性が高いとして、再審請求を支援すると発表した。実験や鑑定費用の援助などを行う。
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豊川事件は2002年7月28日に愛知県豊川市で起きた、1歳10カ月の男児の略取・殺人事件。車の中にいた男児が、父親がゲームセンターにいる間に行方不明になり、数時間後、約4.5 km離れた海で溺死体となって発見された。車から連れ去られ、海に落とされたとみられている。事件から約8カ月半後、当時同じ駐車場に車を停めていた男性が任意同行を求められ、自白。その後、逮捕された。
男性は起訴後、一転して無実を主張。証拠のほとんどは男性の自白によるもので、2006年の一審名古屋地裁は、自白に信用性がないとして無罪とした。しかし、2007年の名古屋高裁で逆転有罪。翌年最高裁が上告を棄却したため、懲役17年が確定した。
焦点は、自白の信用性だ。日弁連は、自白が変遷していることや、男性の車の中から毛髪や衣服の繊維など、男児が乗車した形跡が見つかっていないことを問題視。動機についても、「男児の泣き声がうるさかった」「処置に困って海に投げ込んだ」という男性の自白は、駐車場所を移動するなり、その場に放置するなりすれば済むのに不合理だと判断した。
弁護団は現在、再審請求の準備を進めている。新証拠として、男性が自白した「犯行現場」からでは、潮流の関係で遺体発見時間に発見現場には流れつかないことを示す、理学博士の意見書などを提出予定だという。
日弁連では現在、6月30日に熊本地裁が再審開始を決定した「松橋事件」や、静岡県で一家4人が殺害された「袴田事件」など10件の再審請求事件を支援中。豊川事件は11件目になる。
(弁護士ドットコムニュース)