本来、テクノロジーの恩恵はあらゆる人に行き渡るのが望ましいもの。視力に障害がある人々にとって、PCのキータッチ、スマートフォンやタブレットのタッチスクリーンの操作は難しい。
韓国のスタートアップが
「Dot」という視覚障害者向けのスマートウォッチの製作に乗り出している。
デバイス表面の
スクリーンにあたる部分にはピンが設置されていて、
ピンが飛び出したり引っ込んだりすることで点字を再現している。
ユーザーは自身の
指先を使い、触れることで文字を読む。この仕組みを使って、
時計として時刻を表示するだけでなく、テキストメッセージを読んだり、電子書籍を読んだり、点字を学習したりできるという。
・同時に最大4文字を表示
スクリーン部分には
24のピンが設置されていて、全部で
4つの区画に分かれている。ここに
同時に4つの文字を表示することが可能。
・スマホと連動、リアルタイムで情報をキャッチ
Bluetooth対応のデバイスとリンクして、
リアルタイムでユーザーは情報を読み取ることができる。例えばスマートフォンにテキストメッセージが着信した場合、アプリが点字に翻訳をおこない、スマートウォッチにその情報を送信する、といった流れだ。
「Dot」内部の
バイブレーターモーターが作動して、ユーザーにアラートとしてお知らせする。アラートがあると自動的に画面表示は時計モードから切り替わる。
読み取りのスピードは、ユーザーのお好みでカスタマイズが可能だ。「Dot」のサイド部分には
ダイアルがあり、これを動かすことで調節ができるという。この、
“リアルタイムで”という点は、実用性という意味でも非常に大きいだろう。
・点字学習ツールとしても
また、
点字学習ツールとしても使うことができるという。例えばスマートフォンアプリを使って、文字“p”を読み上げると、「Dot」のディスプレイに該当の点字が出現する、といったようなかたちだ。
ただし、同時に最大4文字までしか表示できないため、現状では電子書籍のような長い文章を読むのには向かない。そのため、
グラフィックや長い文章を表示するのに適した「Dot Pad」という新ツールの開発を2017年に予定している。
・2つの賞を受賞、10月から生産開始予定
「Dot」は
“2016 Cannes Lions Festival”というイベントで、“product design”と“Innovationカテゴリー”の
2つで賞を受賞した。市場化に向けた生産開始は今年10月を予定している。
Dot