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「無修正わいせつDVD」13万枚所有の業者逮捕、購入者が罪に問われる可能性は?

2016年07月05日 10:02  弁護士ドットコム

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無修正のわいせつなDVDを販売目的で所有していたとして、大阪府警は6月22日、男性3人を「わいせつ電磁的記録媒体有償頒布目的所持」の疑いで逮捕した。


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大阪府警がDVDの製造拠点から押収したわいせつDVDの枚数は、およそ13万2000枚にもなるという。産経ニュースによると、3人はこれらのDVDをネットで販売し、月に100万円ほどを売り上げていたようだ。



同じ22日には京都府でも、男性6人が逮捕されている。こちらは数千万円の売り上げがあったとみられ、約8万枚の「無修正DVD」が押収されたという。6月はこのほかにも、8日に埼玉県、21日に福岡県で、無修正DVDの販売容疑で逮捕者が出ている。



これだけの業者や枚数があるということは、買った人の数も少なくないはずだ。「無修正DVD」を購入・所有すること自体は罪にならないのだろうか。大森景一弁護士に聞いた。



●通常、購入者が罪に問われることはないが…


刑法175条2項は、「わいせつな文書、図画、電磁的記録にかかる記録媒体その他の物」を有償で頒布する目的で所持・保管することを禁止しています。違反した場合は、2年以下の懲役もしくは250万円以下の罰金か科料に処し、あるいは懲役と罰金の両方を併科することとしています。



どのようなものが「わいせつ」になるかですが、判例では「いたずらに性欲を興奮または刺激する」などの要件が示されているものの、実際には、捜査機関は、性器部分にモザイクを入れるなどの修正を行い、審査団体の審査を経ていれば、「わいせつ」とは取り扱わない運用であるとみられています。



ただし、無修正であっても、有償頒布以外の目的で所持・保管することは犯罪とはされていませんので、通常、購入者が罪に問われることはありません。ただし、入手の経緯や所持・保管していた数量・態様などによっては、転売目的があったと推認される可能性があります。



加えて、購入した無修正DVDを他人に頒布したりした場合には、営利目的でなくても、わいせつ物頒布等の罪が成立する可能性があります。また、その無修正DVDが児童ポルノに該当する場合には、2015年7月から、自己の性的好奇心を満たす目的があれば所持自体が犯罪とされていますので、注意が必要です。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
大森 景一(おおもり・けいいち)弁護士
平成17年弁護士登録。大阪弁護士会所属。同会刑事弁護委員会委員など。
多数の刑事事件を取り扱っているほか、内部通報制度の構築・運用などのコンプライアンス分野にも力を入れている。著書に『刑事弁護Beginners』(共著)・『逐条解説公益通報者保護法』(共著)など。
事務所名:安永一郎法律事務所
事務所URL:https://omori-law.com