2016年07月05日 09:41 弁護士ドットコム
「クレカ借金200万…もう死にたい」。子育て情報サイト「ママスタ」のBBSに、そんな悩みが投稿されました(実際に寄せられた投稿はこちら→http://mamastar.jp/bbs/comment.do?topicId=2615193)。
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投稿した女性は、夫と4歳の子供の3人暮らし。キャッシングとショッピングあわせて約200万円の「カード借金」に苦しんでいるといいます。
夫の月収は14万円。ケガが原因で障がいが残り、思うように働けない状況だといいます。投稿主のパート収入は5万円。二人合わせてもわずか19万円。携帯電話や水道・ガス・電気料金が支払いきれず、とめられてしまうことも日常茶飯事。とても生活していけないと嘆いています。
この投稿に対して、「(投稿)主がもっと働くべき」や「死にたいとか簡単に書くな」という率直な感想から、「自己破産や任意整理をしては?」というアドバイスまで、多数の反応が寄せられています。
借金地獄におちいってしまった家族が再生していく方法はあるのでしょうか? 小松雅彦弁護士に聞きました。
●3年程度の分割で返せないなら自己破産を
借金が200万円とのことですが、まずは利息制限法に基づく引き直し計算で、借金の減額や、過払い金がいくら出ているかを計算してみてはいかがでしょうか。ただ、2006年の貸金業法等の改正後、法定利率を超える貸付が出来なくなったので、利息制限法で債務が減る事案は少なくなっています。
夫婦で月収19万円ですから、借金返済に充てられるお金は少ないでしょう。もし3年程度の分割で返せないなら、自己破産をお勧めします。自己破産には、債務を全額支払わなくて良いことと、手続の期間が短いというメリットがあります。ただし、自己破産の申し立てをすると、一時的に、特定の職業に就けなくなったりします。
自己破産以外に任意整理、民事再生、特定調停がありますが、費用や手間を考えると、破産しない程度の債務の場合は、任意整理をお勧めします。
ただし、任意整理の場合、自己破産のように支払い義務がなくなるものではなく、長期間にわたって支払いが続きます。また、自己破産、任意整理、民事再生、特定調停のいずれの場合も、クレジットカードの作成・使用ができなくなります。
●各種手当や生活保護の相談もしてみましょう
月収19万円で、借金を返済しながら家族3人で生活していくことは、かなり厳しいでしょう。借金の整理ができても収入が少ないと、お金が必要になった時、ヤミ金から借りるなどして深刻な事態となる危険があります。
そこでまず、ご主人の障がいについて手当が出ないか、役所で相談すべきです。ただ、国・都道府県・市町村の手当など様々あり、障がいの内容・程度によっても制度は複雑です。
次にお子さんの手当ですが、児童手当、児童扶養手当、児童育成手当などがあります。これも所得制限や様々な要件がありますので、役所で相談してみてください。
生活保護も相談すべきでしょう。収入が最低生活費を下回れば不足分についてお金が出ます。ただし、地域、家族構成、障がいの有無、年齢などによって非常に細かい基準があります。
また、もし高い家賃の住まいの場合は、安い家賃の公的住宅に移れないか、相談してみてはいかがでしょうか。
大事なことは、このような福祉のサービスは、要求しなければ受けられないということです。家族再生のために、がんばって役所と相談してください。
【取材協力弁護士】
小松 雅彦(こまつ・まさひこ)弁護士
後見・相続・遺言を多数取り扱う。「気軽に相談できる、親しみやすい法律家」をモットーに身の回りの相談にも対応している。薬害エイズ事件やハンセン病国賠事件、薬害肝炎事件なども担当した。
事務所名:多摩オアシス法律事務所
事務所URL:http://komatsu6.com/