7月2日付け朝日新聞(朝刊)の子育て欄に「さかなクン」の幼少期が採り上げられ、「お母さんが素晴らしい」とネットで話題になっています。
さかなクンは小学生のころ、タコにハマり、まるごとのタコを買ってもらい、夕飯は毎日タコ料理をねだり、飽きずにタコの絵を描いていたといいます。お母さんは、さかなクンのタコ好きを認めるだけでなく、好きなことをとことん伸ばしてあげようという信念を持っていたようです。(文:篠原みつき)
「あの子は魚と絵が好きだから、それでいい」
お母さんは水族館で、息子といっしょに一日中タコの水槽を眺め、「タコって面白いんだね」と共感。さかなクンは「タコの魅力に共感してくれ、感動を共有でき、すごくうれしかった」と感激した思い出を語ります。
タコ以外のいろんな魚がいることにも気付かせてくれて、さかなクンの「お魚ライフ」が始まりました。魚屋に行けば欲しい魚を丸ごと買ってくれ、綿密に観察し絵を描くと母が誉めてくれる。それがうれしくてまた絵を描き、魚は自分でさばいて料理したといいます。
小学校では、授業中にも絵を描いていて授業についていけず、担任に「勉強もしてください」と指導されます。ですが驚くことにお母さんは、こう言って突っぱねます。
「あの子は魚と絵が好きだから、それでいいんです」
「成績が優秀な子もそうでない子もいていい。みんな一緒ならロボットになっちゃいます」
これはなかなか多くの親が言える言葉ではありません。甘やかしと寛容さの線引きも難しく、「せめて普通くらいには」と勉強を優先し、好きなことは後回しにさせてしまいそうです。
絵を習わせては、という薦めにも「好きなように描いてほしい」と応じませんでした。息子の個性を大切にしたかったとのこと。お母さんの口癖は「命がとられるわけじゃないんだから」。さかなクンは、失敗しても大丈夫だと安心できたそうです。
ネットは称賛「こんなおかんが欲しかった」
この記事の切り抜きが「さかなクンのお母さん凄い…私には到底真似出来ない」というコメントと共にツイッターに流れると、多くの人の共感を呼び、2日で2万もの「いいね!」が付き、数は伸び続けています。
リプライには子育て中の母親や保育士から「感動しました」「気持ちが救われました」という賛辞が寄せられたほか、この子育てを称賛する投稿が相次いでいます。
「これはお母さんがえらい。『よくぞうまく育てた』としか言いようがない」
「(いい意味で)親の顔が見たい、と常々思ってたけど、私もこんなおかんが欲しかった。お母様自身の息子に対する観察眼とブレなさも、親子そっくりだなーというか」
「普通の親なら、学校の勉強がおろそかになった時点で趣味を制限してしまう...その結果は『普通の平凡な子供』にしかならないのかもしれない」
そんなさかなクンは、いまでは東京海洋大名誉博士・客員准教授を務め、2010年には絶滅種とされていたクニマスの生息確認に貢献しました。
今月公開のディズニー/ピクサー映画の最新作「ファインディング・ドリー」の海洋生物監修とマンボウの声優に抜擢され、「夢のようでギョざいます!」とコメント。好きなことは趣味にとどめておくべきという声もある中で、さかなクンは「好きを天職に」して、のびのびと生きているといっていいでしょう。(文:篠原みつき)
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