メルセデス・モータースポーツのボス、トト・ウォルフは、F1オーストリアGPでの接触事故を受けて、ルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグにチームオーダーを採用するかどうか検討を迫られている。
わずか8週間前のF1スペインGPでも両者は接触し、悪夢は再び起きた。今回は結果的にロズベルグがフロントウイングにダメージを負い4位に後退、ハミルトンが優勝を果たした。
さらにはレース後に審議対象となり、順位の変動はなかったもののロズベルグには10秒のタイムペナルティが加算され、フロントウイングが壊れた状態で走り続けたことによる戒告処分も受けている。
トト・ウォルフは、このような事態を防ぐためにルールが必要だと感じているようだ。
「バルセロナでの事故については、それまで29レースの間、両者は接触していなかったから深刻なものだとは考えていなかった。『これは問題ない』と自分に言い聞かせてね。もう同じことは起こさないと彼らは学んだはずだと、少し甘い考えを持っていた。しかし再び事故が起きてしまった」
「解決策として、あらゆるオプションが考えられる。ひとつは、レースのある段階から順位を決めてしまうことだ。支持されないし、わたし自身も吐き気を催すだろう。我々はレースを見たいのだからね。だが、もし接触が起きないレースが不可能であれば、また同じことが起きるはずだ」
「すぐ決断する? まずは冷静になって考えなければいけない。この先、数日で解決させるつもりだ。彼らが何を言おうが、我々はレースチームとして判断を下す。接触を避けるための様々な選択肢がある」
また、ハミルトンがロズベルグに仕掛けた際、ロズベルグのマシンはブレーキ・バイ・ワイヤにトラブルを抱えていたとされるが、それについてウォルフは非難していない。
「お互いが譲歩しなくてはいけない。2台そろってハードブレーキングを行ったことで、接触事故を起こした。もしかしたら、クラッシュして2台がリタイアという、我々にとっては悪夢のような結末を迎える可能性もあったんだ」
「ニコが故意にルイスに寄せた? いや、そういう問題ではないんだ。ニコはクルマにハンデを抱えていて、ブレーキを遅らせようとしていた。通常のラインではなかったかもしれないが、そこにルイスがアウトから並び、接触してしまったということだ。私はどちらのせいにもするつもりはない。ヒートアップしていたんだ。最終ラップの出来事だからね」
「いずれにしても、もう検証はしたくない。2台の接触は、もう見たくないんだ」