2015/2016シーズンのフォーミュラE最終戦ロンドンePrixは3日、決勝レースが行われ、ニコラ・プロスト(ルノー・e.ダムス)が2連勝を収めた。タイトル争いは序盤のアクシデントを跳ねのけたセバスチャン・ブエミ(ルノー・e.ダムス)に軍配が上がり、シリーズ2年目の王座に輝いた。
オープニングラップの3コーナーで、タイトルを争うルーカス・ディ・グラッシ(アプト・シェフラー・アウディ・スポート)がブエミと絡み、両者ともクラッシュバリアに衝突した。このアクシデントにより、ブエミはリヤウイングを、ディ・グラッシはフロントエンドを大破してしまいレースを戦える状態ではなくなってしまう。
ブエミはバリアから抜けだした後、マシン交換のためにピットイン。ディ・グラッシも壊れた右フロントタイヤを引きずりながらピットまでたどり着き、2台目のマシンに乗り換える。両者ともに入賞圏内でのフィニッシュが絶望的となったことで、チャンピオンシップの行方はファステストラップ獲得者に与えられる2ポイントをどちらが獲得するかに委ねられた。
獲得ポイントは同点ながら、ブエミは3位獲得回数でディ・グラッシに遅れを取っており、王座獲得には、この2ポイントを獲得することが絶対条件。そのためレース中盤以降は激しいファステストラップ争いが繰り広げられた。
マシンチェンジ後、さっそくディ・グラッシは1分27秒037でファステストを記録するが、アタックのタイミングを探っていたブエミが1分26秒056で逆転。さらに次のアタックで1分24秒582までタイムを上げ、ディ・グラッシを突き放しにかかる。
追いかけるディ・グラッシは、その後のアタックで第1~2セクターで区間ベストを記録するも第3セクターで失速して、ブエミに届かない。
ディ・グラッシが一度ピットに戻ってくると、再びブエミがコースイン。このアタックで自身のベストラップを約0.4秒押し上げ1分24秒150を叩き出す。これを見たディ・グラッシはマシンを降りてファステスト更新を断念した。
その後、ブエミのファステストを更新するドライバーは現れずにチェッカー。昨年わずか1ポイントでタイトルを逃したブエミが、悲願のタイトルを手にした。
レース後、ブエミは「ディ・グラッシが何を考えていたのか理解できない。彼は故意にクラッシュしようとしてきたんだ」とコメント。ディ・グラッシを批難している。
「どんなことをしても勝てると思っていたのだろう。しかし、最終的にはベストなドライバーとチームが勝利を手にした」
「正直、こんな形でチャンピオンになるとは思っていなかった。本当に驚いているよ」
一方、ディ・グラッシは「アグレッシブに攻めすぎた」と認めつつも、故意に衝突したわけではないとしている。
「トップのブエミとバトルをするには、早い段階で(2番手を走る)プロストを交わす必要があった。彼はブエミのチームメイトで苦戦を強いられそうだったからね」
「だから、3コーナーでかなりアグレッシブに仕掛けいった結果、少し接触がありバランスを崩した。そして、あのコーナーではブエミが僕たちより50メートルも早くブレーキングを始めていたんだ。気がついた時には衝突していたよ」
「オープニングラップで起きてはいけないアクシデントだが、タイヤとブレーキが冷えきっている状態では、果敢に攻めていく必要がある」
レースは、1周目のアクシデントを回避したプロストが好走。合計3度もセーフティカーが導入されたにも関わらず、2位のダニエル・アプト(アプト・シェフラー・アウディ・スポート)を7.6秒も突き放してロンドンePrix2連勝を上げた。
3位でチェッカーを受けたのはジャン-エリック・ベルニュ(DSヴァージン・レーシング)だったが、レース中に規定値を超えるエネルギーを使用していたとして50秒のタイムペナルティが与えられたため、4位フィニッシュのジェローム・ダンブロジオ(ドラゴン・レーシング)が3位に繰り上がっている。