2016年07月04日 10:11 弁護士ドットコム
覚醒剤取締法違反(使用)の罪に問われたロックバンド「C-C-B」の元メンバー田口智治被告人の初公判が6月28日に横浜地裁で開かれた。
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報道によると、田口被告人は昨年9月にも同法違反(使用等)の罪で懲役1年6月、執行猶予3年の有罪判決を受けており、今回、再び覚醒剤を使用したとして、罪に問われている。田口被告人は罪を認め、古い友人から自宅に覚醒剤が送られてきたことを説明しているという。
検察側は、常習性が顕著だとして、懲役2年を求刑。弁護側は、薬物事件を主な対象とした「刑の一部執行猶予」制度の適用を含めた寛大な判決を求めている。田口被告人は「(自分を応援している人たちを)二度と裏切ってはいけないと思います」と述べたそうだ。
今回の事件も含め、覚醒剤事件の再犯は多く、2015年の警察庁統計でも、再犯者率が64.8%にのぼることが明らかになっている。再犯を防ぐためには、何が求められるのだろうか。大山滋郎弁護士に聞いた。
「覚醒剤をやめられないのは、精神が弱いからだ!」そう思っている人は沢山いるようです。薬物を本気でやめる気になれば、やめられるだろうということです。
こういう考えのもと、覚せい剤中毒になった自分の生徒を立ち直らせようとした教師のエピソードがあります。精神を強く持てば薬物などを排除できることを証明するために、自分で覚せい剤を使用したそうです。しかし、その先生自身、覚せい剤をやめられず、中毒になったそうです。薬物の力はそれだけ強いのです。だからこそ、再犯者率が65%にもなるのです。
薬物中毒を防止するには、最初の段階で使わせないようにすることが一番大切です。そのために、国としても一番力を入れているはずです。
その一方、薬物を使ってしまった人は、立ち直るのが非常に難しいということを、社会の常識にすることが大切だと思います。本当に難しいことなのだから、それを達成できた35%の人にエールを送ることですね。
最近始まった「刑の一部執行猶予」も、立ち直りを助けるための制度だと思います。しかし、それでも立ち直れない人が多数派でしょう。
そういう人たちを強く非難しないで、厳しい病気と闘っている病人と考える社会になれば、結果的に薬物中毒者の更生も進むように思えるのです。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
大山 滋郎(おおやま・じろう)弁護士
刑事弁護と企業法務が得意分野。メーカーの法務部門に長く勤め、勤務のかたわらニューヨーク州弁護士資格を取得し、日本の司法試験にも合格した。会社の法律問題を扱う一方、多数の刑事事件を手がける。
事務所名:弁護士法人横浜パートナー法律事務所
事務所URL:http://www.ypartner.com/