2016年07月04日 10:11 弁護士ドットコム
ツイッターで知り合った少女(16)を1カ月近く、自宅アパートに寝泊まりさせていたとして、自称プログラマーの30代男性が6月下旬、未成年者誘拐の疑いで警視庁に逮捕された。
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報道によると、少女が5月下旬、「家出したがお金がない。寝泊まりさせてほしい」とツイッターに書き込んだ。男性は「家においで」などと誘って、25日間にわたって自宅に連れ込んだという。ただ、少女の行動を制限するようなことはなかったそうだ。
警視庁の取り調べに、男性は「未成年と知らなかった」と容疑を否認している。家出している未成年を「善意」で泊めるあげても違法なのだろうか。小野智彦弁護士に聞いた。
「未成年を『善意』で泊めても、その保護監督者(親権者等)の承諾がない限り、違法であり、未成年者誘拐罪が成立します」
どうしてそうなるのか。
「未成年者誘拐罪については、もちろん未成年者本人の身体の自由が保護法益(法によって保護される利益)ですが、それだけにとどまらず、保護監督者の監督権も保護法益となります。
つまり、保護監督者の承諾がない限り、いくら未成年が泊まることに承諾していたとしても、保護監督権が侵害されている以上、未成年者誘拐罪の違法性は阻却されないということになります。
なお、この罪が成立するためには、故意、つまり、泊めた相手が未成年であることを知っていることが必要です。
今回逮捕された男性は『未成年であることを知らなかった』と故意の存在を争うことで無罪を主張しているようです。
しかし、仮に『もしかしたら未成年かな?』と思ったとしても、故意ありとされてしまいます(未必の故意)。
相手方の容姿、言動、容疑者のこれまでの経歴(ほかに未成年と遊んでいたなど)から、未必の故意が認められてしまうことがあります」
では、家出した未成年に「泊めてほしい」といわれた場合、どうすればいいのか。
「相手が未成年だとわかったら、あるいは、未成年かも知れないと思ったら、仮に『泊めて』といわれても、泊めないことです。どうしてもというのであれば、親御さんの連絡先を聞き、連絡をして迎えに来てもらうか、承諾を取るかをしなければなりません。
とはいえ、そのような未成年は、絶対に親御さんの連絡先などいわないでしょうから、その場合は、警察に連絡して、保護してもらうしか方法がないように思います」
小野弁護士はこのように述べていた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
小野 智彦(おの・ともひこ)弁護士
浜松市出身。1999年4月、弁護士登録。オフィスは銀座一丁目。手品、フルート演奏、手相鑑定、カメラ等と多趣味。手品の種明し訴訟原告代理人、ギミックコイン刑事裁判弁護人、雷句誠氏が漫画原稿の美術的価値を求めて小学館を提訴した事件などの代理人を務めた。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。
事務所名:銀座ウィザード法律事務所
事務所URL:http://homepage2.nifty.com/tomo-ono/lawyer