2016年07月04日 10:11 弁護士ドットコム
不倫の事実はないのに、探偵が自分の同僚や夫の親戚に派手に聞き回ったせいで、周囲の人たちがよそよそしくなってしまったーー。探偵に浮気調査をされた既婚女性が、ネットの掲示板に怒りをぶちまけていた。
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女性によると、女性が過去に在籍していた会社の元上司が、妻と離婚した際、「ずっと彼女を愛している」と女性の名前を勝手に出してしまったそうだ。妻は探偵を使って、女性と元上司の不倫関係がないかどうかを調べたそうだ。
結果は、「本当に何もなさそう」というもので、潔白が裏付けられたが、探偵が派手な聞きこみをして、女性が「既婚者と関係していたかもしれない」と匂わせていたそうだ。
女性は探偵と元上司の妻を訴えられるかどうかを検討しているが、やましいところがないのに浮気調査をされて、不快な思いをした場合、探偵や妻を訴えることができるのだろうか。村木亨輔弁護士に聞いた。
「相談者の女性としては、名誉が毀損されたことを理由に、探偵に対し、不法行為に基づく損害賠償や、名誉回復措置を取るように請求していくことが考えられます。
ここでいう『名誉』とは、人の品性、徳行、名声、信用等の人格的価値について、社会から受ける客観的評価のことです。
不貞行為自体、一般にタブー視されていることですし、不法行為と評価される行為ですので、不貞の有無は、『名誉』に関わるものと言えるでしょう。
そうすると、探偵が聞き込みの際に、相談者が不貞行為をしていないにも関らず、不貞があったかのような言動をすることは、相談者の名誉を毀損する行為と言えそうです」
では、依頼者である元上司の妻についてはどうだろうか。
「元上司の妻は、元上司の言葉を鵜呑みしてしまい、探偵に相談者の素行調査を依頼したとのことですが、単に不貞の有無を確かめるため探偵に依頼したとしても、依頼したことを不法行為と解することは難しいように思います。
しかし、探偵に対して、例えば、盗聴等の問題がある方法や手段を取って調査するように指示したり、また違法な調査をすることについて知っていたり、容易に知りえたにも関わらず、調査内容を確認しなかった場合には、不法行為責任が生じる余地はあると思われます」
村木弁護士はこのように話していた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
村木 亨輔(むらき・きょうすけ)弁護士
虎ノ門法律経済事務所神戸支店の支店長弁護士。東京本店を中心に、全国に20の支店があり、今後も各地に拡大する予定。本店支店間が相互に連携を取ることにより、充実したリーガルサービスの提供を可能とする。
事務所名:虎ノ門法律経済事務所 神戸支店
事務所URL:http://kobe.t-leo.com/