2016年07月03日 09:51 弁護士ドットコム
皇帝(しいざあ)、黄熊(ぷう)、光宙(ぴかちゅう)など、「キラキラネーム」を付けられた子どもたちは「可愛い名前を」という親の願いとは裏腹に、悩みを抱えていることも多いようです。
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Yahoo!知恵袋では、あるキラキラネームの中学生が「キラキラネームだから礼儀がなっていなさそう、と好きな人から振られてしまった」と打ち明けていました。「どうして普通の名前にしてくれなかったのか」「ずっと親を恨んでいる」と不満をあらわにしています。
別の投稿では、名前を読んだだけで誰もが振り向くようなキラキラネームを付けられたことが嫌で、友達にあだ名の「ユウコ」で呼んでもらっているという高校2年生の女性が悩みをつづっていました。
友人が自分のことをあだ名で呼ぶことを咎めた親に対して、「せめて日常生活に支障のない名前が良かった。改名したい」と伝えたところ、父親から「妊娠中に一生懸命考えてつけた名前だから、お母さんに謝りなさい」としかられ、食事を抜かれてしまったそうです。
キラキラネームを付けられた子どもは、親の同意がなくても、名前を変えることはできるのでしょうか。長瀬佑志弁護士に聞きました。
● 親の同意がなくても、15歳以上なら手続きが可能
名前(この場合は姓名の「名」、いわゆる「下の名前」を指します)を変更するためには、家庭裁判所の許可を得て、市区町村役場に届け出る必要があります。
家庭裁判所の許可を得るためには、「正当な事由」が必要とされています(戸籍法107条の2)。
どのような場合に「正当な事由」があるとして、名の変更が許可されるかということですが、「奇妙な名」、「むずかしくて正確に読まれない」場合などが挙げられます。
この点では、出生届の不受理が問題となった事案で、「難解、卑猥(ひわい)使用の著しい不便、特定(識別)の困難などの名は命名することができない」と判示された裁判例も参考となります(名古屋高等裁判所昭和38年11月9日決定)。
今回のお悩みについては、奇妙な名前であるとか、難読な名前であると認められれば、家庭裁判所の許可を得て改名することが可能となります。
ただし、自分自身で名前の変更許可の申し立てをするためには、15歳以上でなければなりません。
15歳未満(14歳以下)の場合には、法定代理人(親権者等)が代理をしなければなりません。ご両親が反対している場合、15歳以上であればご自分で名前を変更する手続きを進めることができますが、14歳以下であれば手続きを進めることができません。
【取材協力弁護士】
長瀬 佑志(ながせ・ゆうし)弁護士
弁護士法人長瀬総合法律事務所 代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)
「ノンストップ!」、「ZIP」、女性セブン、週刊ポスト等メディアに出演。
著書に「若手弁護士のための初動対応の実務」がある。
事務所名:弁護士法人長瀬総合法律事務所日立支所
事務所URL:http://nagasesogo.com