かつてエステルライヒリンクと呼ばれていたレッドブルリンクの西側セクションの復活が検討されており、来年のオーストリアGPで使用される可能性もあるという。
1969年に建設された当時のエステルライヒリンクは、全長5.9kmのコースだった。しかし、1990年代にA-1リンクとして再オープンした際にレイアウトが短縮され、1997年から2003年までグランプリレースが開かれている。その後、A-1リンクはいったん閉鎖されたものの、ディーター・マテシッツが新たなオーナーとなり、レッドブルリンクの名称で復活。2014年には11年ぶりのF1レースも開催された。
レッドブルのコンサルタント、ヘルムート・マルコは、「現時点では、まだ計画段階にすぎない」としているが、検討されているのは、現在のレイアウトのターン1とターン2の外側にある、旧エステルライヒリンクの「西ループ」の復活だ。
これを実現するには、まずマテシッツからシュタイアーマルク州政府に、20年以上もモータースポーツには使われていなかった1.6kmの部分の再使用を申請する必要があるという。そして、州政府の許可が下りれば、コースの再舗装と現在のF1の安全基準に合わせた改修工事を行うことになる。工事そのものは大規模なものではなく、数カ月もあれば完成するはずだ。
西側セクションの復活でサーキットの全長が長くなると、世界耐久選手権(WEC)レースを開催する可能性も開けてくる。また、F1に関して言えば、来季のマシンが現在よりずっと速くなっても、ラップタイムが短くなりすぎることはないだろう。
今週末のオーストリアGPの最初のプラクティスで、最速だったニコ・ロズベルグのラップタイムは1分07秒373だった。これはすでに昨年のポールタイムより1.5秒も速い。その主な理由はクルマの開発と今季から導入されたウルトラソフトタイヤにあるが、来年の新テクニカルレギュレーションによるクルマではタイヤサイズの変更なども加わって、現行レイアウトではラップタイムが1分02~03秒まで短縮される可能性がある。
レッドブルのドライバー、ダニエル・リカルドは、サーキットが延長されるとすれば、それは楽しみなことだと語っている。
「コースが少し長くなれば、それだけ面白味も増すだろうね。来年のマシンが予想どおりに速いとすれば、(現在のコースでは)ラップタイムは1分ちょうどに近づいて、かなり短い1周になる。コースを少し延長するというのは良いアイデアだと思うよ」
「すでにそのスペースはあるのだし、何人かの人から聞いた話から言えば、僕らにとってはすごく面白いコースになりそうだね」
いっぽう、マテシッツはオーストリアにあるもうひとつのサーキット、ザルツブルクリンクを買収する計画を棚上げしたという。買収価格はおよそ300万ユーロと推定されていた。
マテシッツによると、買収を止めたのは、いくつか法律上の問題があったことに加えて、エントランスと駐車場に使おうと考えていた土地の地主のやり方が気に障ったからだという。
「この人物(地主)は、ごくわずかな面積の土地の借地料として毎月1万ユーロを要求してきた。その時点で、もうウンザリしてしまったよ。私たちはザルツブルクリンクを買収しようと考えたが、そうする必要があったわけではない。あのコースを手に入れなくても、こちらは何の問題もなくやっていける」
「ザルツブルグの自治体には、もう買収に関心はなくなったという内容の書簡を出した」